2023年3月28日火曜日

Organic Process Research & Development【OPR&D】を深読み 〜その2〜

 今回は2月のSome Items of Interest to Process R&D Chemists and Engineersから何報かピックアップして深読みしていきます。

 まずは,オランダのアムステルダム大学のTimothy Noël教授のスルホニルヒドラゾン類を用いた光触媒によるC–Hアルキル化の論文です。反応としては,アルデヒドから誘導される4-トリフルオロメチルスルホニルヒドラゾンのアルジミンの求電子性炭素に対するアルキルラジカルの付加です。

 基質の4-トリフルオロメチルスルホニルヒドラゾンの合成に用いる対応するヒドラジンの合成は簡便ですね。ヒドラジン水和物(3当量)を、0℃で30mLのTHF中の対応するスルホニルクロリド(6 mmol)の溶液に滴下して加えるだけです。N–H結合(ca. 430 kJ/mol)とS–Cl結合(ca. 260 kJ/mol)→S–N結合(ca. 460 kJ/mol)とH–Cl結合(ca. 430 kJ/mol)への置換ですね。実際にはヒドラジンとスルホニルなので誤差はあるでしょうが,200 kJ/molほどの強力な発熱反応ですね。H–Cl結合(ca. 430 kJ/mol)ができるのが大きな駆動力になっていそうです。生成したH–Clは,ヒドラジン水和物(3当量)を使っているので,ヒドラジン塩酸塩が生成していそうですね。そのときの中和反応熱もあるので,0℃で滴下して加えているのも納得ですね。

精製は反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、ブラインで5回洗浄してヒドラジン塩酸塩を除去してますね。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して完了です。

 肝心の4-トリフルオロメチルスルホニルヒドラゾンのアルジミンの求電子性炭素に対するアルキルラジカルの付加ですが,C=N結合(ca. 640 kJ/mol)とC–H結合(ca. 385 kJ/mol)→C–C結合(ca. 300 kJ/mol)とC–N結合(ca. 285 kJ/mol)とH–N結合(ca. 430 kJ/mol)への変換ですね。前後の結合エネルギーの概算としては,それほど大きな有利さはないですが,著者らも言及しているように,ラジカルと付加を受ける基質の極性の一致が鍵となっているようです。論文中の極端な例では,今回のアルキルラジカルは求核性なので,アルジミンのような求電子性の基質には付加しますが,シリルエノールエーテルのような求核性のオレフィンには付加しません。THFのα水素の活性については酸素原子の電気陰性度に由来する誘起効果によって説明できますが,THF由来のアルキルラジカルの求核性については,酸素の非共有電子対による炭素ラジカルの軌道への超共役効果でしょうか。

Shapiro反応を起こしそうな基質ですが,用いる基質に活性なα水素を持たないアルジミンを中心に用いている点や,溶媒にもトルエンではなくTFTを用いているのも,ラジカル生成段階で競合するものが存在していると上手くいかないのでしょうね。

光触媒として用いる4, 4′-ジクロロベンゾフェノンについて,なぜベンゾフェノンがいいのかについてや,エネルギー移動については私の解説よりも詳しいものがありますので,そちらに譲ります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/24/12/24_12_1183/_pdf/-char/ja

http://www9.gunma-ct.ac.jp/staff/nakajima/Lecture/photochem5K/RS_20150701.pdf

http://www9.gunma-ct.ac.jp/staff/nakajima/Lecture/photochem5K/RS_20160613.pdf

私が推定反応機構で少し疑問に思ったのが,THFから水素ラジカルを引き抜いた後のケチルラジカルがベンゾフェノンに戻るときに,アルジミンの求電子性炭素にアルキルラジカルが付加した後のヒドラジニルラジカルが,THFから水素ラジカルを引き抜てしまうのでは?という点です。この点に関して,著者に質問してみたところ,ここでも極性の一致が鍵となっているとのことでした。すなわち,ヒドラジニル種の窒素を中心としたラジカルは、かなり求核的であるため(アミジルラジカルとは異なり、アミジルラジカルのようにカルボニル機能を持たず、HAT剤として知られている)、HAT(極性非一致事象)を介してTHFのC-H結合を切断することはありません。

 次は,Ugi型四成分連結反応と分子内aza-Wittig閉環による無触媒多成分連結重合反応の論文です。基質としては,芳香族アルデヒド、第二級アミン、(N-イソシアノイミノ)トリフェニルホスホランおよびカルボン酸です。特筆すべきは,やはり(N-イソシアノイミノ)トリフェニルホスホランでしょうか。こちら市販品としても入手可能ですが,ギ酸ヒドラジド,四塩化炭素,トリフェニルホスフィンおよびトリエチルアミンを用いて,合成できるようです。推定反応機構を勝手に考えてみましたが,アッペル反応と少し光延反応のようなアゾ部位にPPh3が付加する要素も入れてみましたが,序盤で少し腑に落ちない部分があるので,まぁ参考程度に。


重合反応の着想の元論文はこちらです。ugi反応の途中で分子内aza-Wittig閉環が起きるのが大きな特徴ですね。また,イミンではなくイミニウムを使っているところも個人的には面白い着想だと感じていますが,この重合反応への展開は簡単そうに見えますが,色々と検討している基質などから工夫が伺えて面白いです。例えば,P1とP3でジベンジルアミンからジエチルアミンに変更すると,収率は大幅に低下しますが,Mwが劇的に増えています。一本あたりの平均であるMnも上がっているので,おそらくこれは分子量が増えてきても溶解性が落ちなかったために,低分子量の成分が全体として減ってMwが上昇したのではないかと想像しています。逆にピペリジンを使うと,おそらく溶解性が落ちる方向に働き,MwもMnも下がったのではないかと思います。P2では,グルタルアルデヒドはベンズアルデヒドではなくなったので,単純にイミニウム形成が遅くなったために,高分子量の成分が全体としてわずかに減ってMwが下がったのではないかと想像しています。


 続いて,ドイツのアーヘン工科大学のDaniele Leonori教授のアリールジアゾニウム塩とヨードアルカンを用いたハロゲン原子移動(XAT)を利用したインドール合成です。インドール合成というと,Fischerインドール合成ですが,Fischerインドール合成はアリールヒドラジンを用意しなければならないため,基質一般性や官能基許容性に難がありますが,アリールジアゾニウム塩からインドール合成が可能になれば,アリールジアゾニウム塩はアニリンから亜硝酸ナトリウムと適切な酸を作用させることで用意に調整可能なので,基質一般性が大きく広がりますし,何よりもアニリン誘導体が市販品として豊富にあるので,多様な応用展開が期待できますね。

条件最適化では,還元剤として最初は第三級アミンを検討しましたが,1とアミンの副反応に由来する多量の副生成物と,それに起因して過剰に用いる必要がありました。著者らは,Gomberg−Bachmann型の機構で何らかの副反応が起きたのではないかと推測していましたが,アミンを使ってラジカルが関与する反応をやろうとすると,頻繁にどうにもおかしなことが起きるのですが,ラジカルが関与するとなると,有機化学者お得意のNMRが使えないので,機会があればアミンを使ったラジカル反応の全容をEPRと共鳴ラマンなどを駆使してどこかで解明してみたい気持ちがありますね。なんとか会社のプロジェクトと絡ませてやれないかな。。。化学メーカーじゃないけど笑。あるいはそういうチャンスがあれば,アカデミアの現場復帰もありえるかもしれませんね。まぁなにせ,副反応が起きて反応系が汚くなる点から,ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドや硫酸鉄を検討して,最終的に費用対効果の側面から,硫酸鉄を使用しています。論文で「費用対効果」なんて,あまり目にすることがないので取り上げました。
この手のSET反応全般に言えることですが,ヨードアルカンやヨードアレーンがよく利用されるのですが,ヨード系の基質は基質一般性の問題があったり,光で分解したりとなにかにつけてデメリットがあるので現場の人は嫌がるので,この辺りが解決できる一般性の高い方法論が見つかればブレイクスルーになりそうだという感覚はありますね。

 続いても,同じくドイツのアーヘン工科大学のDaniele Leonori教授のニトロアレーンを光応答性酸化剤として用いたオレフィンのジヒドロキシル化反応です。こちらは以前にNatureで報告されたこちらの論文の派生研究ですね。以前はニトロアレーンを光応答性酸化剤として用いたオレフィンのオゾン分解型の反応を行っていましたが,今回は反応性を制御して開裂しないように還元することで,ジオール合成に成功しています。反応としての面白さもさることながら,従来は猛毒の四酸化オスミウムを用いざるを得なかった反応を代替できるとあって,非常に魅力的な反応ですね。
反応機構のところで,(E)-オレフィンと(Z)-オレフィンのいずれのジヒドロキシル化からも,syn異性体が主生成物で得られたことから,光環化付加反応の貴重な洞察を与えていますね。励起したニトロアレーン三重項ビラジカルの反応が協奏的ではなく,段階的に進んでいることが,立体障害の少ない中間体にに平衡化させる速い結合回転が起きているであろうということから容易に想像できますね。
 syn体のジオールが優先的に得られているので,これ,David W. C. MacMillanの報告していたこちらのトランス体からシス体ジオールへの動的エピメリ化の条件を活用して,オレフィンからワンポットで,syn体とanti体のジアステレオダイバージェントなジオール合成ができたら,面白そうですね。

 最後はコロラド州立大学のAndrew McNally教授のZinckeイミン中間体を介したピリジン類3位のハロゲン化反応の論文です。
端的に言ってめちゃくちゃおもしろい反応ですね。ピリジンは電子不足な芳香環なので,求電子芳香族置換(EAS)反応によるハロゲン化は,過酷な条件を必要とします。強力なブレンステッド酸やルイス酸と高温で反応を進めることができますが,基質一般性や官能基許容性の観点から,現実的ではありません。また,教科書のように位置異性体がきれいに選択的に得られることはなく,位置整体混合物になる点も問題です。他にも,強塩基を用いたメタル化-ハロゲン化反応もアプローチの一つとして考えられますが,3位にアクセスするためには配向基が必要になるので,これもまた同様の問題を抱えています。結果的に,人類は現実的な解決手段として,他の汎用性の高い官能基を介した間接的な方法ではありますが,立体障害や配位子の構造制御によって,イリジウム触媒を用いた3位選択的ボリル化やシリル化を開発しました。ちょっと興奮して研究背景を熱く語りすぎてしまいましたね。
なにせこのような背景から,ピリジンの3位選択的ハロゲン化について,開環→ハロゲン化→閉環の戦略による代替アプローチが今回開発されました。本反応は,ピリジンをアザトリエン中間体(Zincke imines)に変換する古典的なZincke開環反応を改良したもので,ワンポットで行えます。いくらピリジンとはいえ,芳香環を開いて閉じる間にハロゲン化するなんて発想が
すごすぎますね。著者らはまず,従来のZincke開環化学の手法の改善に取り組み,ピリジンN-活性化ステップが強力な反応条件を必要とした点,2位の置換基が存在する場合にしばしば失敗するという制限をとりさり,置換ピリジン類の基質一般性を拡大しました。具体的な解決法として,低温でピリジンと無水トリフラート(Tf2O)から容易に生成するNTf-ピリジニウム塩の開環を利用しています。これにより,反応性中間体として2,6-二置換を除くほとんどの置換パターンにまで基質一般性を拡大しました。ToscanoらもTf2Oによる開環を報告していましたが,このプロセスをピリジン以上に拡張することはなく,開環生成物の混合物を観察したところで止めてしまったようです。2-フェニルピリジンを用いて,開環のための求核剤として一連の脂肪族アミンをした結果,ピロリジン,ピペリジン,モルホリンからはジイソブチルアミンと同様の中程度の収率で開環生成物を得ることができましたが,最終的にはジベンジルアミンが最適で,高収率で開環生成物を得ることができました。そういえば偶然ですが,さっきのUgi型四成分連結反応のときもジベンジルアミンが最適でしたね。
このZincke開環化学,面白いですね。ピリジンに求核剤を作用させると,通常はChichibabin反応のように芳香族求核置換反応が進行しますが,その理由は芳香族反応の特徴である「芳香族性を回復する有利さ」のために,付加後の中間体よりも生成物のほうが安定になります。ところが,今回の場合はTf基の電子求引性のために,付加後の中間体の窒素上の非共有電子対が芳香族性を回復できるほどの力がないのでしょう。また,メチル基を3つも有するcolidineを塩基として用いているのも,colidine側にTf基が移ったり,求核剤が付加するのを防ぎつつ,強すぎないという絶妙なバランスなのだろうなと推測しています。付加後の中間体は局所的に見れば,アミジンのような骨格であり,NTfが脱離基と考えれば自然な反応機構が書けると思います。

開環後は,ハロスクシンイミド(NXS)を作用させれば,ヨウ素化と臭素化はスムーズに進行し,塩素化は結果が芳しくありませんでしたが,塩酸を共存させればワンポットで塩素化と閉環まで首尾よく進行するようです。ヨウ素化と臭素化の場合は,TFAを共存させればワンポットで進行します。これらのことから,開環と閉環あるいはさらなる分解を招くかは,酸性か塩基性かの絶妙なバランスで成立しているようですね。
著者らは,NXSによるZinckeイミンハロゲン化の機構と位置選択性について,DFT計算を行っています。確かに位置選択性が何で決まっているのかは気になるところです。DFT計算のレベルは,B3LYP-D3(BJ)/def2-TZVP//ωB97X-D/6-31+G(d,p)レベルを使って,CH2Cl2のSMDによる溶媒補正を入れていますね。ωB97Xですが,構造最適化の精度が高いということで,B3LYPやM06に代わって最近よく用いられてます。構造最適化ではωB97X-Dを使って,エネルギー計算のところでもB3LYP-D3(BJ)にして長距離補正を入れていますね。あまり弱い相互作用が効きそうな系ではなさそうですが,念の為ということでしょう。Dで入れる長距離補正は,B3LYPからωB97Xに変えることによる計算コストに比べれば小さいですから。ハロゲン化の経路は,一般的な求電子付加に続く脱プロトン化であり,外殻電子移動過程を仮定した経路はは活性化障壁が34 kcal/molとかなり高かったようです。余談ですが,34 kcal/molがどれくらいのエネルギーかをボルツマン定数を使って,大雑把に推定すると,原料を99%消費するために200℃で1時間,160℃で24時間の加熱が必要ということになります。
ハロゲン化における位置選択性は,従来はフロンティア軌道係数,原子電荷,あるいは求核性パラメータの違いで解釈するケースが多いですが,今回はZinckeイミンのC3位とC5位の電子環境は,福井f-係数(0.24 vs 0.25),自然電荷(-0.20 vs -0.22),HOMO係数(ともに0.26)の点で大差がなかったようです。このため,変換における高いC3選択性の別の根拠が必要です。結果的には,NCS,NBS,NISとの反応のいずれのケースでも,速度論的に制御された位置選択性を持つ不可逆な全体反応が示唆され,活性化障壁のエネルギーも実験と定量的に一致する19〜22 kcal/mol程度の値を得ています。
詳細は省きますが,最終的には選択性を決定する2つの異なる領域があり,1つは不可逆的なC-Hal結合形成ステップが,塩素化と臭素化の位置選択性を決定し,も一方C–I結合の形成は可逆的であり,第二の脱プロトン化工程が位置選択性を決定するということです。

以上で,OPR&Dの深読み第2回でした。今回はあまりSIの合成にまでは踏み込みませんでしたが,論文の反応のエネルギーの考え方や反応機構を中心に深読みしました。みなさんも自分なりの視点を持って論文を深読みできるように,いろんな考え方や視点を取り入れて実践してみるのもいいかもしれません。

それではまた。

2023年3月26日日曜日

A Deeper Look at Organic Process Research & Development (OPR&D) - Part 1

Have you been reading Organic Process Research & Development?

Although I have not become a process chemist, I have learned a lot from OPR&D and have been reading it since I was a student. I would like to share with you some of the articles in the "Most Read" or "Some Items of Interest to Process R&D Chemists and Engineers", which is a compilation of articles by Dr. John Knight that I think chemists should read.

Today's article is co-authored by Mr. Masatoshi Yamada of the Pharmaceutical Research Division of Spera Pharma, Inc., members of the API team of the CMC Research Division, and members of Tohoku University.

The article describes an efficient and scalable asymmetric total synthesis of (-)-Emetine with pharmaceutical grade quality, which is the first multigram scale synthesis. The starting material is inexpensive homoveratrylamine (3,4-dimethoxyphenethylamine), which is surprising to see again at the end of the process.

According to Wikipedia, the synthesis of 3,4-dimethoxyphenethylamine is done by using vanillin or its methylated form as a starting material, condensation with acetic acid to increase carbon, hydrogenation to the double bond, and Hofmann rearrangement. Another route is the reduction from the Henry reaction using nitromethane.

The synthesis starts with the one-pot intramolecular SEAr reaction from imine formation of the terminal amine to produce 6,7-Dimethoxy-3,4-dihydroisoquinoline. This reaction is named the Pictet-Spengler reaction and uses electrophilic carbons produced by the decomposition of hexamethylenetetetramine (HMTA) under the acidic conditions used in the Duff reaction. The order of adding HMTA and TFA should be reversed if you want to proceed with the Friedel-Crafts type reaction favorably. In addition to the neutralization of TFA by the amino group of the raw material, even if HMTA reacted with TFA, there would still be a sufficient amount of TFA remaining to start heating. The remaining 0.3 equivalents of HMTA were added in three separate additions, and the final yield, including purification, was nearly 70%, so it seems safe to assume that HMTA provided the electrophilic carbon at least twice.

The asymmetric allylation of 6,7-Dimethoxy-3,4-dihydroisoquinoline shows the dark side of scale-up. The reaction went well on a scale of about 130 g. When they increased the amount of catalyst and ligand further and ran the reaction on a 2 kg scale, they encountered several issues, such as the appearance of byproducts, a decrease in enantioselectivity, and difficulty in controlling the reaction temperature. These issues were resolved by optimizing the reaction conditions and using a different catalyst and ligand.

Authors have successfully functionalized the terminal allyl group using a second-generation Grubbs catalyst for an olefin metathesis reaction with ethyl acrylate. The nitrogen functional group is useful as it can be converted into an organic salt every time it is isolated.

The benzoquinolizidine skeleton is constructed through the Michael addition of a secondary amine of tetrahydroisoquinoline to an α,β-unsaturated ketone, followed by intramolecular cyclization. In this process, the Michael addition with the easily polymerizable methyl vinyl ketone is controlled by neutralizing the hydrochloride salt of the raw material from the previous isolation process with exactly one equivalent of triethylamine. In the subsequent intramolecular cyclization, pyrrolidine is added to deprotonate the α-hydrogen of the ketone, and the reaction proceeds in a one-pot fashion.

The remaining ketone is reduced with sodium borohydride, but the reduction also competes with the intramolecular condensation of the alcohol and ester resulting from the reduction, forming a lactone. This is not surprising, especially since concentration during the post-processing process can be problematic. Therefore, tosyl alcohol is protected by adding anhydrous tosylate and then isolated as a tosylate. This is a smart approach.

After removing the tosyl group by hydrogenation, hydrolyzing the ester, and activating with pivalic acid chloride and triethylamine, condensation with homoveratrylamine, which also appeared first, forms an amide. Here, an intramolecular SEAr reaction is carried out using phosphoryl chloride to form an imine from the amide, which is famous for the Vilsmeier-Haack reaction, to produce an electrophilic carbon, resulting in the Bischler-Napieralski reaction.

Finally, the target compound is obtained by reducing the imine through the Noyori asymmetric hydrogen transfer reaction.

How was it? The last part was a bit of a rush, but I think it is good to read OPR&D in depth to learn a lot.