著者: T. E. Anderson, Dasan M. Thamattoor,* David Lee Phillips*
背景
1: 既存の知見と研究の重要性
- 歪み環状アルキンは、高い反応性と複雑な骨格を形成する能力から、合成化学において価値のあるビルディングブロックです。
- これらは、理想的な線形幾何学からの逸脱を伴うため、化学結合の歪みの限界を探る上で理論的・実践的に重要です。
- アルキリデンカルベンは、Fritsch–Buttenberg–Wiechell (FBW) 転位を介して歪み環状アルキンを形成する経路を提供します。
- FBW転位は、他の方法では生成が困難な高反応性で幾何学的に歪んだ環状アルキンへのアクセスを可能にします。
- 多くの歪みアルキンは室温で不安定な中間体であり、その形成は様々な捕捉剤との反応によって推測されてきました。
2: 未解決の問題点と研究のギャップ
- FBW転位によるアルキン生成は、一般的にアルキンを優先する熱力学的平衡に依存すると考えられてきました。
- しかし、多くの多環系アルキンにおける追加の幾何学的制約は、平衡をカルベン側に傾ける可能性があります。
- このような場合、歪みアルキンの直接合成でさえ、逆1,2-転位(Roger Brown転位)によりアルキリデンカルベンへの転位を引き起こす可能性があります。
- 過去に、アルキリデンカルベンのFBW転位を介した多環系アルキン(例えば5および7)の検出が試みられましたが、両化学種の相対的安定性の不利な差が原因で失敗していました。
- アルキリデンカルベノイド種の使用、反応温度、捕捉剤の種類など、多くの実験的要因が中間体の熱力学的安定性の解釈を複雑にする可能性があります。
3: 研究の目的と期待される成果
- 本研究は、以前は熱力学的に到達不可能と考えられていた3つの高歪み多環系アルキン(bicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10)、pentacyclo[5.5.0.04,11.05,9.08,12]dodec-2-yne (13)、pentacyclo[6.4.0.03,7.04,12.06,11]dodec-9-yne (6))を穏やかな条件下で生成します。
- これらのアルキンは、ジエン捕捉剤を用いたディールス・アルダー環化付加によって捕捉されます。
- また、異なる捕捉剤を使用することでアルキリデンカルベンの捕捉も試み、これにより外環式アルキリデンカルベンとその環状アルキンFBW転位生成物の両方が捕捉された初の事例を提供します。
- 捕捉剤の選択が反応結果に決定的な影響を与え、カルベンまたはアルキンのいずれかを捕捉できることが期待され、計算実験によって予測されます。
- 本研究は、不安定な中間体の捕捉において、熱力学的な関係性が必ずしも制限ではないことを実証することを目指します。
方法
1: 研究デザインの概要
- 本研究は、遊離アルキリデンカルベンの光分解的生成アプローチを採用しており、穏やかな条件下および室温で進行します。
- この方法は、アルキリデンカルベノイドの特徴である代替反応経路を避けることを可能にします。
- 計算研究(DLPNO-CCSD(T)/CPCM(benzene)/def2-TZVPP//M06/CPCM(benzene)/def2-TZVPレベルの理論)により、反応経路のエネルギー面、活性化エネルギー、および中間体の相対的安定性を予測しました。
- ターゲットアルキン(10, 13, 6)および対応するカルベン(9, 12, 5)の前駆体(22, 29, 50)の有機合成が実施されました。
- これらの前駆体を介して生成した中間体の捕捉研究が行われ、ジエン捕捉剤(16)とシクロヘキセン(35)が使用されました。
2: 主要な試薬と中間体
- 生成された歪み多環系アルキン: bicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10), pentacyclo[5.5.0.04,11.05,9.08,12]dodec-2-yne (13), pentacyclo[6.4.0.03,7.04,12.06,11]dodec-9-yne (6)。
- 対応するアルキリデンカルベン: 7-norbornylidene carbene (9), 8-pentacyclo[5.4.0.02,6.03,10.05,9]undecylidene carbene (12), および 2-pentacyclo[6.3.0.03,7.04,11.06,10]undecylidene carbene (5)。
- 捕捉剤:
- 2,5-ビス(メトキシカルボニル)−3,4-ジフェニルシクロペンタジエノン (16): ディールス・アルダー環化付加によりアルキンを優先的に捕捉すると予想。
- シクロヘキセン (35): カルベンとアルキンの両方を捕捉可能と予想。
- 合成されたアルキリデンカルベン前駆体: 22, 29, 50。
3: 主要な評価項目と測定方法
- アルキンおよびカルベンの検出: 特定の捕捉剤との反応生成物を分析することで間接的に検出。
- 反応生成物の構造決定:
- X線結晶構造解析により、主要な付加体(11, 37, 40)の構造が確認されました。
- 1H NMR分光法により、未精製反応混合物中の生成物収率、未反応のジエン、および主要な生成物の同定が行われました。
- GC/MS分析により、一部の生成物(例:付加体39)の同定が行われました。
- エネルギーおよび活性化エネルギーの計算: DLPNO-CCSD(T)/CPCM(benzene)/def2-TZVPP//M06/CPCM(benzene)/def2-TZVPレベルの理論を使用し、FBW転位の活性化エネルギーおよび中間体の相対的安定性を評価しました。
- 歪みエネルギーの計算: 化合物10および13の三重結合における歪みエネルギーが算出されました。
4: 実験条件と分析手法
- 光分解実験: Newport 200W Xe-Hgアークランプ(280–400 nm)を使用し、石英製容器中でアルゴン雰囲気下、ベンゼンまたはシクロヘキセン中で実施されました。
- 反応時間: 前駆体が消費されるまで、4時間から16時間の範囲で照射が行われました。
- 生成物の精製: フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、硝酸銀処理シリカゲル)が用いられました。
- 化合物の特性評価: 合成された化合物および反応生成物は、1H NMR, 13C NMR, 高分解能質量分析 (HRMS) (ESI), 赤外分光法 (IR) (ATR) によって詳細に特性評価されました。
結果
1: アルキン10と13のジエン16による生成と捕捉
- bicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10)は、前駆体22の光分解後に生成され、シクロペンタジエノン16によって捕捉され、付加体11が32%の単離収率で得られました。
- 計算予測では、アルキン10は対応するカルベン9より1.0 kcal/mol安定であり、FBW転位の活性化エネルギーは8.4 kcal/molでした。
- pentacyclo[5.5.0.04,11.05,9.08,12]dodec-2-yne (13)は、前駆体29の光分解後に生成され、ジエン16によって捕捉され、付加体14が10%の単離収率で得られました。
- 計算予測では、アルキン13は対応するカルベン12より2.4 kcal/mol安定であり、FBW転位の活性化エネルギーは10.1 kcal/molでした。
- 反応混合物中には、異性化生成物32および51や二量化生成物(アレン31)も検出され、代替反応経路の存在が示唆されました。
2: カルベン9と12のシクロヘキセン35による捕捉
- 前駆体22をシクロヘキセン (35)の存在下で光分解した結果、シクロプロパン化生成物36が排他的に生成し(35%単離収率)、アルキン10ではなくカルベン9が捕捉されたことを示しました。
- 同様に、前駆体29をシクロヘキセン (35)の存在下で光分解した結果、シクロプロパン化生成物39が排他的に生成し(40%単離収率)、アルキン13ではなくカルベン12が捕捉されたことを示しました。
- これらのデータは、捕捉実験の結果が、アルキンとアルキリデンカルベン間の熱力学的関係ではなく、主に捕捉剤の種類に依存することを示しています。
- 計算研究は、アルキン10および13に対するシクロヘキセンの付加の活性化エネルギーが、カルベン捕捉と比較して著しく高いことを示しており、実験結果を裏付けています。
3: 熱力学的に不利なアルキン6のジエン16による捕捉
- pentacyclo[6.4.0.03,7.04,12.06,11]dodec-9-yne (6)は、計算上、対応するアルキリデンカルベン5より4.5 kcal/mol不安定であると予測されました。
- しかし、前駆体50の光分解後にジエン16を使用することで、アルキン6は成功裏に捕捉され、付加体15が1%の単離収率で得られました。
- これは、熱力学的に不利な関係にあるアルキンでさえ、適切な反応パートナーを使用すれば捕捉可能であることを示しています。
- 付加体15の収率(1%)は、付加体14の収率(10%)とほぼ同程度であり、両反応におけるカルベンとアルキンの熱力学的関係が異なるにもかかわらず、FBW転位の活性化エネルギーが収率の主要な決定要因である可能性が示唆されました。
考察
1: 捕捉剤によって左右される結果
- 本研究は、3つの高歪み多環系アルキン(10、13、6)と、それに対応するアルキリデンカルベン(9、12)の両方の生成と捕捉に成功しました。
- 重要な発見は、捕捉剤の種類が、カルベンとアルキンのどちらが捕捉されるかを決定するという点です。これは、Curtin-Hammettの原理を示しています。
- 計算実験は、ジエン16とシクロヘキセン35で観察された生成物特異性が、捕捉の活性化エネルギーの違いに起因することを裏付けました。
- 例えば、ジエン16はカルベン9よりもアルキン10を捕捉する活性化エネルギーが低いのに対し、シクロヘキセン35はアルキン10との反応の活性化エネルギーが著しく高いため、カルベン9の捕捉が優先されます。
2: 熱力学的アクセシビリティの克服
- 本研究は、以前の捕捉実験では熱力学的にアクセス不可能と見なされていたアルキン10、13、および6を生成しました。
- これは、穏やかな条件下で遊離アルキリデンカルベンを生成する光分解法を用いることで達成され、アルキリデンカルベノイドに特徴的な代替反応経路を回避できました。
- これらの結果は、アルキンとカルベンの間の熱力学的関係が、適切な反応パートナーが使用される限り、不安定な中間体の捕捉に対する制限ではないことを示しています。
- これにより、FBW転位によるアルキン生成が常にアルキンを優先する熱力学的平衡に依存するという従来の前提に異議を唱えることになります。
3: 先行研究の支持・反証
- 先行研究の熱力学的アクセシビリティに関する結論への反証: 以前のアルキン5、7、10、13の検出の試みは、アルキンがカルベンと比較して熱力学的に不利であるとされたために失敗していました。本研究は、これらのアルキンが捕捉可能であることを示しました。
- 捕捉剤/速度論的制御の役割を支持: 以前の低温条件下での捕捉失敗は、カルベンの熱力学的優位性に起因するとされていましたが、本研究は、低温がカルベンとアルキンの平衡が確立される前にカルベン捕捉を優先させる速度論的制御をもたらす可能性を示唆しています。これは、本研究で観察されたCurtin-Hammettの原理と一致しています。
- 一部のシステムにおける計算予測との一致: アルキン5と6、および7と8の相対的熱力学的安定性に関する以前の報告は、本研究で実施された計算実験と一致することが確認されました。
4: さらなる示唆と洞察
- 本研究は、外環式アルキリデンカルベンとその環状アルキンFBW転位生成物の両方が成功裏に捕捉された報告となります。
- 付加体11、14、15の収率は、特にウンデシリデンカルベンの場合、FBW転位の活性化エネルギーが生成物収率の重要な決定要因であることを示唆しています。
- 計算実験によって裏付けられたように、歪みアルキンとの環化付加反応のメカニズムは、通常、双ラジカル中間体ではなくジカルベン経路を通じて進行します。
5: 研究の限界点
- 前駆体29の光分解時に観察された複雑な副生成物混合は、カルベン12の代替反応経路および分解への感受性が高いことを示唆しています。
- 前駆体22の光分解でも、転位生成物(32)と二量化生成物(アレン31)が観察され、競合反応が存在することが示されました。
- 過去の多環系アルキン生成におけるアルキリデンカルベノイドの使用は、それらの異なる反応パターンや代替経路(二量化、分解、FBW転位)の可能性により、カルベン-アルキン平衡の研究を複雑にする問題点がありました。
- 一部の生成物(例:付加体14の10%、付加体15の1%)の収率が比較的低いことは、生成物形成の最大化における課題を示唆しています。
結論
- 外環式アルキリデンカルベンの光化学的生成は、以前はアクセス不可能と考えられていたものを含め、高歪みケージドアルキンを生成するための有用な戦略であることが実証されました。
- 異なる捕捉剤を使用することで、アルキリデンカルベン(9、12)とその対応するシクロアルキン(10、13)の両方を捕捉できることが示され、捕捉剤の選択が決定的な役割を果たすことが明らかになりました。
- カルベンとアルキンの相対的熱力学的安定性は、使用される反応パートナーとFBW転位の活性化エネルギーよりも重要性が低いことが示されました。
- 本研究は、FBW転位における熱力学的関係を推論するために捕捉実験のみを使用することの問題点を浮き彫りにしています。
将来の展望
- FBW転位の活性化エネルギーに影響を与える要因に関するさらなる研究は、合成戦略の最適化につながる可能性があります。
- 開発された穏やかな条件下での光分解アプローチは、より広範囲の歪みアルキンとその合成的応用にアクセスするための汎用性の高い方法を提供します。
- カルベンまたはアルキンのいずれかを選択的に捕捉できる能力は、複雑な分子骨格や医薬品の合成に新たな道を開きます。
TAKE HOME QUIZ
「歪んだシクロアルキン」とは何ですか、そして合成化学においてなぜ重要なのでしょうか?その特徴と、医薬品や天然物への応用における価値を述べてください。
-
Fritsch–Buttenberg–Wiechell (FBW) 転位について簡単に説明してください。この転位におけるアルキン生成の従来の一般的な考え方(熱力学的平衡)は何でしたか?
-
過去に高ひずみシクロアルキンの生成と研究が困難であった主な理由は何ですか?
- 以下の要因を考慮して説明してください:
- 化学種の不安定性
- アルキリデンカルベノイドの使用
- 反応温度
- 捕捉剤の選択
- 以下の要因を考慮して説明してください:
-
著者は、以前は熱力学的にアクセス不可能と考えられていた3つの高ひずみ多環系アルキンをどのように生成しましたか?この新しいアプローチの利点を述べてください。
捕捉剤の選択が実験結果(カルベンとアルキンのどちらが検出されるか)にどのように決定的な影響を与えましたか?使用された異なる捕捉剤とその主な結果を例を挙げて説明してください。
解答
- 「歪んだシクロアルキン」とは、環状構造にアルキンが組み込まれることで、理想的な直線幾何形状から逸脱することを余儀なくされ、その結果としてひずみが生じたアルキンです。
- 特徴: これらの化学結合のひずみの限界を探ることを可能にします。非常に反応性が高く、構造的に複雑な骨格を形成する能力を持つため、不安定で一時的な化学種であることが多いです。
- 合成化学における重要性: その反応性は、多くの医薬品や天然物に共通する特徴である、複雑な分子骨格の生成に利用されてきました。
-
Fritsch–Buttenberg–Wiechell (FBW) 転位は、アルキリデンカルベン (1) が1,2-シフトを起こしてアルキン (2) を生成する反応です (図1A参照)。エキソサイクリックアルキリデンカルベン (3) の場合、FBW転位は他の方法では生成が困難な高反応性で幾何学的にひずんだ環状アルキン (4) へのアクセスを提供できます (図1B参照)。従来の一般的な考え方では、アルキリデンカルベンのFBW転位によるアルキン生成は、対応するカルベンよりも目的のアルキンが有利な熱力学的平衡に依存すると考えられていました。
-
以下の要因が、高ひずみシクロアルキンの生成と研究を困難にしていました。
- 化学種の不安定性: 高ひずみシクロアルキンは不安定で一時的な化学種であり、通常の実験条件下では生成および研究が困難でした。
- アルキリデンカルベノイドの使用: 高ひずみ多環系アルキンを生成するためのアルキリデンカルベンの調製は、主にブロモエチレンシクロアルカン類の脱プロトン化やジブロモメチレンシクロアルカン類の脱リチウム化によって行われ、これらはアルキリデンカルベノイド種を生成します。アルキリデンカルベノイドは、遊離アルキリデンカルベンとは異なる反応性を示し、二量化、分解、FBW転位といった独自の経路で反応する可能性があるため、カルベン-アルキン平衡の研究には問題がありました。
- 反応温度: カルベン-アルキン平衡が確立される度合いは反応温度に影響されます。高温下での捕捉実験はアルキンの検出に成功する傾向がありましたが、低温条件下での多くの試みは不成功でした。これは一般にカルベンがアルキンよりも熱力学的に有利であるためとされていましたが、低温では反応結果が速度論的支配下に置かれ、熱力学的平衡が確立される前にカルベンが捕捉されることが有利になる可能性も指摘されています。
- 捕捉剤の選択: たとえアルキンが対応するカルベンよりも熱力学的に有利であったとしても、使用する特定の捕捉剤によっては検出を免れることがありました。これは、Curtin–Hammettの原理に従い、生成物の分布が中間体の熱力学的安定性ではなく、中間体の捕捉に対する相対的な活性化自由エネルギーによって決定されるためです。もしカルベンと捕捉剤の反応の絶対活性化自由エネルギーが、アルキンと捕捉剤の反応よりも低い場合、中間体の相対的な熱力学的安定性に関わらず、カルベンが優先的に選択されます。
-
著者は、以前は熱力学的にアクセス不可能と考えられていた3つの高ひずみ多環系アルキン、すなわちbicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10)、pentacyclo[5.5.0.04,11.05,9.08,12]dodec-2-yne (13)、およびpentacyclo[6.4.0.03,7.04,12.06,11]dodec-9-yne (6) を生成しました。
- 彼らは、遊離アルキリデンカルベンを穏やかな条件と常温で生成する光分解アプローチを開発し、これを利用しました。
- 新しいアプローチの利点:
- 穏やかな条件と常温で反応が進行します。
- アルキリデンカルベノイドに特徴的な代替反応経路を避けることができます。
- 多様な反応パートナーとの捕捉を可能にします。
- これにより、これまで熱力学的に不利と考えられていたアルキンも捕捉できるようになりました。
-
捕捉剤の選択は、反応結果(カルベンとアルキンのどちらが捕捉されるか)に決定的な影響を与えることがわかりました。これは計算実験によっても予測可能でした。
- 使用された異なる捕捉剤とその主な結果:
- シクロペンタジエノン 16 (cyclopentadienone 16):
- この捕捉剤は、Diels–Alder環化付加反応を起こすアルキン 10と13を優先的に検出すると予想されました。実際に、前駆体22の光分解と16の存在下で、bicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10) と16の反応生成物である付加体11が主要な生成物として得られました。計算によれば、アルキン10と16の捕捉に対する絶対的および相対的活性化自由エネルギーは、カルベン9の捕捉よりも低く、そのためアルキンが捕捉実験で有利になると予測されました。
- シクロヘキセン 35 (cyclohexene 35):
- この捕捉剤は、カルベンとアルキンの両方を捕捉できると予想されましたが、前駆体22と29をシクロヘキセン (35) の存在下で光分解した結果、シクロプロパン化生成物36と39のみが排他的に得られました。これは、捕捉剤の濃度に関わらず、bicyclo[2.2.2]oct-2-yne (10) はシクロヘキセンで捕捉できなかったことを示しています。計算実験では、シクロヘキセン (35) とアルキン10の付加反応に対する活性化自由エネルギーが非常に高いため、カルベン9の捕捉が有利になると予測されました。たとえ平衡状態ではアルキン10の濃度が低くても、その捕捉の活性化自由エネルギーが実質的に高いため、カルベン9の捕捉が優先される結果となりました。
- シクロペンタジエノン 16 (cyclopentadienone 16):
- 使用された異なる捕捉剤とその主な結果:
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