著者: Neil R. Judge and Eva Hevia*
背景
1: 非活性アレーンの金属化における課題
- 配向基を利用したオルト金属化 (Direct-ortho Methalation, DoM) は、芳香環の位置選択的な機能化のための強力な合成手法です。
- 電子吸引性の「配向性官能基 (Directing Group, DG)」は、隣接するオルト水素の酸性度を高め、金属化試薬の配位部位を提供することで、高い位置選択性を実現します。
- しかし、配向性官能基を持たない非活性アレーンの位置選択的金属化は、非常に困難な課題とされてきました。
- 従来、この反応には厳しい反応条件と強塩基が必要で、しばしば低変換率と低い位置選択性をもたらしました。
- 例えば、ナフタレンでは2つの非活性サイトが類似した酸性度を持つため、選択的な金属化が困難です。
- これまでの研究では、ブチルリチウムやnBuLi/KOtBuのような強力な塩基を用いても、低収率の複雑な異性体混合物が得られることが報告されています。
2: 二金属系塩基による金属化の進展と未解決の問題
- Mulveyらは、ナトリウムジンケート [NaZn(TMP)tBu2] を用いて、ナフタレンのC2-ジンケート化を温和な条件で良好な収率で達成しました。
- 我々のグループは、アルカリ金属アルコキシド添加剤が有機マグネシウムおよび有機亜鉛試薬の反応性を高める効果を発見しています。
- 特に、ジスアミド亜鉛 Zn(TMP)2 に化学量論量の KOtBu を添加することで、室温で幅広いフルオロアレーンの直接的なジンケート化が優れた位置選択性で可能になりました。
- この反応が注目に値するのは、KOtBuとZn(TMP)2はそれぞれ単独ではフルオロアレーンの金属化に対して不活性な比較的弱い塩基であるためです。
- しかし、ベンゼンやトルエンのような非活性基質のジンケート化には、基質をバルク溶媒として使用する必要がありました。
- また、金属化中間体の複雑な溶液中の構成、およびZn(TMP)2/2KOtBu混合物のTHF溶媒中での安定性については、さらなる理解が必要です。
3: 研究の目的
- 配向性官能基を持たない非活性基質および主要なヘテロ環分子の位置選択的なジンケート化への応用をさらに拡大することを目的とします。
- KOtBuによって提供される活性化効果を解明するため、アルカリ金属の役割と使用される溶媒のドナー能力を検討します。
- 電気求電子置換前の金属化中間体の正体を明らかにし、その溶液中の複雑な多種構成を解明します。
- Zn(TMP)2/2KOtBu混合物の異なる溶媒中での安定性を評価し、特にTHFを分解して珍しいブタジエニル断片を形成する能力を明らかにします。
- これらの知見を通じて、合成化学における困難なC-H結合官能化のための強力な新しいツールを提供することを目指します。
方法
1: 研究デザインとアプローチ
- 合成化学的な手法を用いて、二金属塩基 Zn(TMP)2/2KOtBuによるC-H金属化反応を開発および評価しました。
- 位置選択性と反応効率を詳細に調査するため、幅広い非活性アレーンおよびヘテロアレーン基質が使用されました。
- 生成した有機金属中間体は、その構造と安定性を理解するために捕捉・特性評価されました。
- 最終的な金属化生成物は、ヨウ素によるクエンチ反応を通じて関連するヨード(ヘテロ)アレーンとして単離・定量されました。
2: 基質と反応条件
- モデル基質として、ナフタレン (1a) が初期のスクリーニング研究に使用されました。
- 非活性アレーンとしては、ベンゼン、ビフェニレン、アントラセン、2-メトキシナフタレン、トリメチル(フェニル)シラン、メシチレン、m-キシレンなどが調査されました。
- ヘテロ環分子としては、ベンゾオキサゾール、カフェイン、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、N-メチルイミダゾール、1-メチル-1,2,4-トリアゾールなどが含まれます。
- 反応は主にTHF溶媒中で実施され、一部の非活性アレーン(ベンゼン、トリメチル(フェニル)シラン、メシチレン)はバルク溶媒としても使用されました。
- 基本的には室温で、数分から24時間程度の反応時間が設定されました。
- Zn(TMP)2/2KOtBu混合物の異なるアルカリ金属塩基(LiOtBu, NaOtBu)との比較も行われ、アルカリ金属効果が評価されました。
3: 分析および構造決定手法
- 反応の変換率と選択性は、ヘキサメチルベンゼンを内部標準とする1H NMRモニタリングによって決定されました。
- 生成物の単離収率は、カラムクロマトグラフィーによる精製後に測定されました。
- 金属化中間体およびTHF分解生成物の構造は、NMR分光法 (1H NMR, 13C{1H} NMR, 1H DOSY NMR) を用いて溶液中で特性評価されました。
- 重要な中間体および生成物の固体構造は、X線結晶構造解析によって詳細に決定されました。
- 特に、重水素NMR分析は、THF分解生成物への重水素の組み込みを確認するために使用されました。
結果
1: 非活性アレーンおよびヘテロアレーンの高効率・高選択的ジンケート化
- Zn(TMP)2単独ではナフタレンの金属化は全く進行しませんでしたが、2当量のKOtBuを加えることで、ナフタレンはC2-ジンケート化が定量的かつ選択的に進行し、2-ヨードナフタレンが89%の単離収率で得られました。
- この反応では、顕著なアルカリ金属効果が観察され、LiOtBuやNaOtBuを用いると反応が完全に停止しました。18-crown-6の存在下でも反応が停止し、K–π相互作用が成功の鍵であることが示唆されました。
- ベンゼン、ビフェニレン、アントラセンといった広範な非活性アレーンも、この二金属塩基によって温和な条件で良好な収率(例:ベンゼンからヨードベンゼン99%、ビフェニレンから1-ヨードビフェニレン71%)でジンケート化されました。
- ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カフェインなどのより分解性の5員環ヘテロ環分子も、室温かつ短時間で81%から96%という優れた収率で効果的にα-ジンケート化されました。
2: 金属化中間体の構造と配位子再配置
- ベンゼンのジンケート化の初期段階では、高次カリウムジンケート [K2Zn(Ph)2(OtBu)2] (Ia) の形成がNMRモニタリングによって示唆されました。
- しかし、結晶化を試みると、低次カリウムジンケート [(THF)2KZn(Ph)(OtBu)2]2 (3b) が単離されました。これは配位子再配置プロセスとフェニルカリウムの脱離によって説明されます。
- 同様の配位子再配置プロセスは、ナフタレンやベンゾオキサゾールのジンケート化中間体からも低次ジンケート (3a, 3c) を生じさせることが確認されました。ベンゾオキサゾールの場合、脱離したカリウム種は開環反応を起こし、フェノキシド種 (4) を形成しました。
- 対照的に、メシチレンやm-キシレンのような非活性アルキルアレーンのジンケート化では、得られる高次ジンケート [(THF)2K2Zn(CH2-3,5-Me2-C6H3)2(OtBu)2]N (5) は溶液中および固相の両方で安定でした。
- この安定性は、Kカチオンとメシチルアニオンのπクラウドとの広範なK–π相互作用によって支えられていると考えられ、上記の配位子再配置プロセスを防ぎます。
3: 予期せぬTHF溶媒の分解
- 基質が存在しない状態でZn(TMP)2/2KOtBuのTHF溶液を室温で3日間放置すると、溶液が無色から鮮やかな紫色へと劇的に変化しました。
- この反応により、s-トランス-1,3-ブタジエニル (C4H5−) 断片が亜鉛中心に配位したカリウムジンケート [(PMDETA)KZn(C4H5)(OtBu)2]2 (7) が生成・単離されました。
- このブタジエニル断片の形成は、THFの初期の相乗的なα-ジンケート化に続き、その後の環開裂と酸素の押し出しによって起こると考えられます。
- 重水素置換THFを用いた実験では、ブタジエニル断片への重水素の取り込みが確認され、THFが分解源であることが示されました。
- このTHFの金属化とそれに続く分解は、ベンゼンやメシチレンなどの非活性基質の完全なジンケート化に長時間の反応が必要な場合、副反応として問題となることが示唆されています。
考察
1: 弱い塩基の協調性とアルカリ金属効果の重要性
- 単独では比較的弱い金属化剤であるKOtBuとZn(TMP)2が協力することで、強力な二金属塩基として機能することを明確に示しました。
- この協力作用により、従来困難であったナフタレン、ビフェニレン、アントラセンといった非活性アレーンの困難な位置選択的ジンケート化が温和な条件下で高効率に達成されました。
- この反応系におけるアルカリ金属効果は劇的であり、KOtBuをより軽いアルカリ金属のtert-ブトキシド(LiOtBuやNaOtBu)に切り替えると、金属化が完全に停止しました。
- これは、より大きくソフトなK中心が基質であるアレーン環とπ相互作用を形成し、C−H結合のジンケート化を活性化する上で極めて重要な役割を果たすことを強く示唆しています。
- このK原子のπ-アレーン相互作用による安定化は、メシチレンのようなアルキルアレーンの高次ジンケートの安定性向上にも寄与し、配位子再配置を防ぐ重要な要因となります。
2: 有機金属中間体の複雑な溶液化学と安定性制御
- 金属化中間体のNMR分光法およびX線結晶構造解析により、これらの反応に関わる有機金属中間体の複雑な溶液化学が明らかになりました。
- 特に、混合アリール/アルコキシ高次カリウムジンケートは、一部の基質(ベンゼン、ナフタレン、ベンゾオキサゾール)において、カリウムアリール種の脱離を伴う配位子再配置プロセスを受け、低次ジンケートへと変化することが確認されました。
- しかし、メシチレンなどのアルキルアレーンの場合では、Kカチオンがπ-アレーン相互作用によって安定化されることで、高次カリウムジンケートの完全性が溶液中および固体状態で保持され、配位子再配置プロセスを回避できることが示されました。
- これらの知見は、溶媒と反応温度、そして基質の性質が、有機金属中間体の挙動に深く影響を及ぼし、最終的な有機生成物の収率に影響を与える可能性があることを強調しています。
3: 先行研究との比較(金属化反応)
- ナフタレンの金属化に関して、GilmanのnBuLiによる低変換率(最大20%)と複雑なC1-/C2-リチオ化異性体混合物や、SchlosserのnBuLi/KOtBuによる12種類の異性体混合物(全体収率53%)と比較して、本研究のZn(TMP)2/2KOtBu系はナフタレンのC2-ジンケート化を定量的かつ高い選択性で達成しました。
- Mulveyはナトリウムジンケートを用いてナフタレンのC2-ジンケート化に成功していますが、本研究は比較的弱い塩基の組み合わせで同等以上の選択性を達成し、特にカリウムのπ-アレーン相互作用の重要性を明確に示しています。
- ヘテロ環のα-ジンケート化において、DaugulisらのLiOtBuやK3PO4を塩基とするハロゲン化法は、多量の塩基(2-4当量)、高温(50-130°C)、長時間の反応(10-13時間)を必要としますが、本研究の方法は室温で短時間で高収率を達成し、過剰な塩基も不要である点で優位性を示します。
- さらに、本方法で生成したジンケート中間体は、Pd触媒によるクロスC-Cカップリング反応にも利用可能であり、合成応用の幅を広げることができます。
- 強塩基、特に有機リチウム試薬がTHFを金属化することは知られていますが、通常は不安定なα-リチオ化中間体がエテンとリチウムエノラートに分解し、[3+2]環化付加生成物が形成されます。
- Mulveyらは以前、ナトリウムマグネシウムやナトリウムジンケートを用いてTHFのα-ジンケート化を報告しており、金属化されたテトラヒドロフラニル断片が安定で、環状モチーフが保持される例も示しています。
- しかし、本研究で観察されたs-トランス-1,3-ブタジエニル断片の形成は、THFのα-ジンケート化に続く開環と酸素の押し出しという、より珍しい分解経路を示唆しています。
- この分解反応の正確な機構はまだ不明ですが、これは二金属ジンケート系が極めて反応性の高いアニオン種を制御する能力を持つ一方で、反応条件や存在基質に応じて異なる分解経路を辿る可能性があることを示唆しています。
- この分解は、長時間の反応が必要な場合に競合する副反応となり、特にTHFを溶媒として用いる際の反応設計上の課題を提起します。
- 本研究のアプローチは、特定のπ拡張系アレーン(ピレン、フェナントレン)に対しては成功しませんでした。これらの基質では、競争的な単一電子移動(SET)プロセスが観察され、これはアントラセンのジンケート化で中程度の収率が得られた理由とも考えられます。
- ピリジンやジアジン類へのアプローチは、室温で広範な分解が観察されたため、ジンケート化は困難でした。
- 非置換(ヘテロ)アレーンの金属化生成物では、高次カリウムジンケート中間体における配位子再配置プロセスが確認され、カリウムアリール種の脱離と低次ジンケートの形成を伴うことが明らかになりました。これは、特に結晶化条件で現れ、溶液中の化学的複雑性を示しています。
- THFの分解によって生じるブタジエニル断片 (7) の形成機構は、現在のところ詳細には解明されていません。
- 非活性基質(ベンゼンやメシチレンなど)の完全なジンケート化に長時間の反応が必要な場合、THFを溶媒として使用すると、THFのα-金属化とそれに続く分解という副反応が競合し、目的の反応収率に影響を与える可能性があります。
結論
- 本研究は、KOtBuとZn(TMP)2という比較的弱い2つの金属化剤の協調作用により、ナフタレン、ビフェニレン、アントラセンのような非活性アレーンや、幅広いヘテロ環分子の困難な位置選択的ジンケート化が可能になることを示しました。
- アルカリ金属、特にカリウムの劇的な効果が明らかになり、K–π相互作用がジンケート化反応の成功と高次ジンケートの安定化において極めて重要であることが強調されました。
- 金属化中間体の複雑な溶液化学と配位子再配置プロセスが解明され、K原子のπ-アレーン相互作用による安定化がこのプロセスの回避に寄与することが示唆されました。
- さらに、一般的な環状エーテルであるTHFが、この強力な二金属塩基の作用によって珍しいブタジエニル断片へと分解されるという予期せぬ反応を捕捉・特性評価し、Zn(TMP)2/2KOtBu組み合わせの強力な反応性を実証しました。
将来の展望
- 将来の研究では、この強力な二金属塩基のさらなる合成応用を探求し、特に配位子再配置プロセスの精密な制御戦略や、THF分解の機構解明が期待されます。
- より複雑な基質への適用拡大、および得られた有機金属中間体のさらなる有機合成への活用も有望な研究方向です。
TAKE HOME QUIZ
1. この論文の中心的な発見は何ですか?
a) Zn(TMP)2単独で非活性アレーンの金属化が効率的に可能である。
b) KOtBu単独で非活性アレーンの金属化が効率的に可能である。
c) Zn(TMP)2とKOtBuという比較的弱い2つの塩基が協調することで、非活性アレーンやヘテロアレーンの困難な位置選択的金属化が温和な条件下で可能になる。
d) 強力な有機リチウム試薬が非活性アレーンの金属化に最も効果的である。
2. このジンケート化反応系におけるアルカリ金属(特にカリウム)の最も重要な役割は何ですか?
a) カリウムは反応に全く影響を与えず、単なるカウンターイオンである。
b) カリウムはZn(TMP)2の反応性を低下させる。
c) カリウムイオンは基質であるアレーン環とπ相互作用を形成し、C-H結合のジンケート化を活性化する。
d) カリウムは有機亜鉛中間体を不安定化させ、分解を促進する。
3. 基質が存在しない状態でZn(TMP)2/2KOtBu混合物をTHF溶媒中で長時間放置した際に観察された予期せぬ副反応は何ですか?
a) THFが重合して高分子を形成した。
b) THFは安定であり、Zn(TMP)2/2KOtBu混合物の反応性は変化しなかった。
c) THFの初期のα-ジンケート化に続き、環開裂と酸素の押し出しを経て、s-トランス-1,3-ブタジエニル(C4H5−)断片が亜鉛中心に配位したカリウムジンケートが形成された。
d) THFが別の環状エーテルに変換された。
4. ベンゼンやナフタレンのような非置換(ヘテロ)アレーンの金属化において、高次カリウムジンケート中間体に関してどのような現象が観察されましたか?
a) 高次ジンケートは常に溶液中および固体状態で安定だった。
b) カリウムアリール種の脱離を伴う配位子再配置プロセスを受け、低次ジンケートへと変化する傾向があった。
c) 高次ジンケートはすぐに溶媒と反応して分解した。
d) これらの基質では、金属化中間体は全く形成されなかった。
5. ナフタレンの金属化において、本研究のZn(TMP)2/2KOtBu系は、GilmanのnBuLiやSchlosserのnBuLi/KOtBuのような先行研究と比較してどのような性能を示しましたか?
a) 同程度の低い変換率と選択性を示した。
b) 多数の異性体混合物を与えた。
c) ナフタレンのC2-ジンケート化を定量的かつ高い選択性(89%の単離収率)で達成した。
d) ナフタレンの金属化には全く失敗した。
解答
- c) 解説: 論文の要点であり、タイトルにも示されているように、Zn(TMP)2とKOtBuそれぞれは弱い塩基ですが、組み合わせることで非活性アレーンやヘテロアレーンを位置選択的にジンケート化できる強力な二金属塩基となります。Zn(TMP)2単独ではナフタレンの金属化は全く進行せず、KOtBu単独でもフルオロアレーンの金属化に不活性であることが示されています。
- c) 解説: 異なるアルカリ金属のtert-ブトキシド(LiOtBu, NaOtBu)を用いたスクリーニング実験では、カリウムを使用した場合にのみ金属化が進行しました。これは、大きくよりソフトなK中心がアレーン環とπ相互作用を形成し、基質のC-Hジンケート化を活性化する上で極めて重要な役割を果たすためであると考察されています。
- c) 解説: 論文では、基質なしでZn(TMP)2/2KOtBuのTHF溶液を放置すると、鮮やかな紫色に変化し、s-トランス-1,3-ブタジエニル断片を含む珍しい分解生成物(7)が単離されたことが報告されています。これはTHFの初期のα-ジンケート化とその後の環開裂と酸素押し出しに起因すると考えられています。
- b) 解説: NMRおよびX線結晶構造解析により、ベンゼンやナフタレンなどの金属化中間体である高次カリウムジンケート(I)は、カリウムアリール種の脱離を伴う配位子再配置プロセスを経て、低次カリウムジンケート(3)へと変化することが明らかになりました。ただし、メシチレンのようなアルキルアレーンではK原子がπ-アレーン相互作用によって安定化されることで、この再配置プロセスが回避されることも示されています。
- c) 解説: GilmanはnBuLiを用いて最大20%の低変換率とC1-/C2-リチオ化異性体の混合物を報告し、SchlosserはnBuLi/KOtBuを用いて12種類の異性体混合物(全体収率53%)を得ています。これに対し、本研究のZn(TMP)2/2KOtBu系は、室温で2時間という温和な条件でナフタレンのC2-ジンケート化を定量的かつ選択的に進行させ、89%の単離収率で2-ヨードナフタレンを生成しました。