論文のタイトル: Stereodivergent, Kinetically Controlled Isomerization of Terminal Alkenes via Nickel Catalysis
著者: Camille Z. Rubel, Anne K. Ravn, Hang Chi Ho, Shenghua Yang, Zi-Qi Li, Keary M. Engle, Julien C. Vantourout
雑誌: Angewandte Chemie International Edition
出版年: 2024
背景
1: 研究の背景
アルケンは合成化学で重要な中間体
内部アルケンの合成は末端アルケンよりも困難
従来の金属触媒的アルケン異性化は一般性や機能性に乏しい
2: 未解決の問題点
アルケン異性化による立体選択的内部アルケン合成は難しい
E/Zの立体選択性を実現する手法がほとんどない
3: 研究の目的
ニッケル触媒による末端アルケンのE/Z選択的一炭素転位を実現
簡便な条件下で様々な基質に適用可能
方法
1: 研究デザイン
ニッケル触媒を用いた末端アルケンの立体選択的異性化反応
2: 基質と条件
各種末端アルケン
室温、市販の試薬を使用
3: 評価項目
生成物収率
Z/E選択性
基質一般性
結果
1: Z選択的反応条件
ニッケル前駆体Ni(COD)2、ジホスフィンリガンドdppf、ヨウ化アリールを使用
2: E選択的反応条件
ニッケル前駆体Ni(COD)2、モノホスフィンリガンドCy3PのHBF4塩を使用
3: 基質適用範囲
多様な官能基を有する基質に対し高収率と選択性
活性化/非活性化アルケン、ヘテロ原子α位のアルケンなど
考察
1: 主要な知見
両プロトコルはNi-H体を経る挿入/脱離機構
Z選択的ではNiII-H、E選択的ではNiIカチオン種が活性種
2: Z選択性の知見
ヨウ化アリールの酸化的付加が重要
嵩高いNi種が生じZ選択的に
3: E選択性の知見
HBF4塩の役割が鍵
中程度のリガンド嵩高さで過剰異性化を抑制
4: 先行研究との比較
既存手法より広い適用範囲と高い選択性
条件の簡便性が本手法の利点
5: 限界点
いくつかの基質で反応性が低い
スケールアップ研究が必要
結論
新規なニッケル触媒によるアルケン異性化プラットフォームを開発
室温で様々な基質に対しE/Z選択的に適用可能
リガンド設計により立体選択性を制御
今後の展望
精密合成や創薬などへの応用が期待される
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