2024年4月29日月曜日

Catch Key Points of a Paper ~0009~

論文のタイトル: Stereodivergent, Kinetically Controlled Isomerization of Terminal Alkenes via Nickel Catalysis

著者: Camille Z. Rubel, Anne K. Ravn, Hang Chi Ho, Shenghua Yang, Zi-Qi Li, Keary M. Engle, Julien C. Vantourout

雑誌: Angewandte Chemie International Edition 

出版年: 2024


背景 

1: 研究の背景

アルケンは合成化学で重要な中間体

内部アルケンの合成は末端アルケンよりも困難

従来の金属触媒的アルケン異性化は一般性や機能性に乏しい


2: 未解決の問題点

アルケン異性化による立体選択的内部アルケン合成は難しい

E/Zの立体選択性を実現する手法がほとんどない  


3: 研究の目的

ニッケル触媒による末端アルケンのE/Z選択的一炭素転位を実現

簡便な条件下で様々な基質に適用可能


方法

1: 研究デザイン

ニッケル触媒を用いた末端アルケンの立体選択的異性化反応


2: 基質と条件

各種末端アルケン

室温、市販の試薬を使用


3: 評価項目  

生成物収率

Z/E選択性

基質一般性


結果

1: Z選択的反応条件

ニッケル前駆体Ni(COD)2、ジホスフィンリガンドdppf、ヨウ化アリールを使用


2: E選択的反応条件

ニッケル前駆体Ni(COD)2、モノホスフィンリガンドCy3PのHBF4塩を使用  


3: 基質適用範囲

多様な官能基を有する基質に対し高収率と選択性

活性化/非活性化アルケン、ヘテロ原子α位のアルケンなど


考察  

1: 主要な知見

両プロトコルはNi-H体を経る挿入/脱離機構

Z選択的ではNiII-H、E選択的ではNiIカチオン種が活性種


2: Z選択性の知見

ヨウ化アリールの酸化的付加が重要

嵩高いNi種が生じZ選択的に


3: E選択性の知見

HBF4塩の役割が鍵

中程度のリガンド嵩高さで過剰異性化を抑制


4: 先行研究との比較

既存手法より広い適用範囲と高い選択性

条件の簡便性が本手法の利点


5: 限界点

いくつかの基質で反応性が低い

スケールアップ研究が必要


結論

新規なニッケル触媒によるアルケン異性化プラットフォームを開発

室温で様々な基質に対しE/Z選択的に適用可能  

リガンド設計により立体選択性を制御


今後の展望

精密合成や創薬などへの応用が期待される

0 件のコメント:

コメントを投稿