2024年4月30日火曜日

Catch Key Points of a Paper ~0010~

論文のタイトル: Metal‐Free Selective Synthesis of α,β-Unsaturated Aldehydes from Alkenes and Formaldehyde Catalyzed by Dimethylamine

著者: G. Peng, N. Ullah, S. Streiff, K. De Oliveira Vigier, M. Pera-Titus, R. Wischert, F. Jérôme  

雑誌: Chemistry - A European Journal

出版年: 2024


背景

1: α,β-不飽和アルデヒドの重要性

α,β-不飽和アルデヒドは重要な化学プラットフォームである

ポリマー、生理活性物質、香料の原料として広く利用される


2: 従来の合成方法の課題  

従来法はWittig反応、アルドール縮合、金属触媒を用いるなど

高価な金属触媒や過酷な反応条件が必要


3: 本研究の目的と意義

アルケンとホルムアルデヒドから金属不使用で選択的に合成する

安価な原料と温和な条件を利用する環境調和型プロセス


方法  

1: 研究デザイン

スチレンをモデル化合物として最適条件を探索

ジメチルアミン、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶媒の利用


2: 反応中間体の同定  

GC-MS、NMR、DFT計算による反応機構の解明 

中間体の単離と反応性評価


3: 反応条件の最適化

ジメチルアミン量の検討(当量比0.1~1.0)

温度(30~50℃)、時間の最適化  


結果

1: スチレン由来α,β-不飽和アルデヒドの合成

最適条件下で2-ベンジルアクロレインを78%収率で合成

副生成物はN-メチル-3-フェニルプロパン-1-アミンのみ


2: 直鎖アルケンからの合成例

1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンから対応アルデヒドを40-44%収率で合成

工業的に重要な化合物へのアクセスが可能に


3: ジメチルアミン量の影響

0.1当量でも反応は進行し、選択性は維持された(80%収率)

理論的に100%アトムエコノミーな触媒的プロセスの実現


考察  

1: 反応機構の解明

DFT計算により、連続的な1,5-水素転位が最も有利であることを示唆

ジメチルアミンは1,3-水素転位を触媒することも確認


2: 本手法の優位性  

金属不使用、温和な条件(30-50℃)、100%原子経済的

スケールアップが容易な安価で豊富な原料利用


3: 工業的インパクト

医薬品中間体や高分子原料となるα,β-不飽和アルデヒド製造が可能に

環境負荷の低減が期待できる


4: 反応条件の最適化の必要性

直鎖アルケンの収率は40-44%と低く、更なる条件検討が必要

工業的には80%以上の収率が求められる  


5: 限界点

ごく一部のアルケンについての結果であり、さらなる基質の検討が必要

実装には工程の最適化とスケールアップ研究が不可欠


結論

ジメチルアミンを触媒として、アルケンとホルムアルデヒドから直接的に、選択的にα,β-不飽和アルデヒドが合成可能なことを実証した

本プロセスは金属不使用、100%原子経済的で、環境に優しい

工業的に重要なα,β-不飽和アルデヒドの供給源となり得る


将来の展望

今後、基質一般性の拡大と工業化に向けた条件最適化が課題

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