2024年6月19日水曜日

Catch Key Points of a Paper ~0046~

論文のタイトル: Triple Nucleophilic Head-to-Tail Cascade Polycyclization ofDiazodienals via Combination Catalysis: Direct Access toCyclopentane Fused Aza-Polycycles with Six-ContiguousStereocenters(新規(2E,4E)-ジアゾヘキサ-2,4-ジエナールを用いたカスケード環化反応による多環式化合物の直接的合成)

著者: Haribabu Chennamsetti, Kuldeep Singh Rathore, Saikat Chatterjee, Pratap Kumar Mandal, Sreenivas Katukojvala

雑誌: JACS Au

出版年: 2024年


背景

1: 研究の背景

天然に存在するアザトリシクロ[6.2.1.04,11]ウンデカン骨格を有する多環式アルカロイドは、様々な生理活性を示す

これらの構造的複雑さから、効率的な全合成手法の開発が求められていた


2: 未解決の問題

単純な前駆体から直接的にアザトリシクロ[6.2.1.04,11]ウンデカン骨格を構築する一般的な方法がなかった

従来の環化反応では、連続する多段階が必要であった


3: 研究の目的

新規ビルディングブロック"ジアゾジエナール"の開発

ジアゾジエナールのカスケード環化反応による高効率的合成法の確立


方法

1: 研究デザイン

新規化合物の合成と反応性の評価


2: 基質の調製

ソルビン酸からジアゾジエナール前駆体の合成

さまざまなアルジミンおよびアリールアミンの調製  


3: 主要な評価項目

ロジウム/ブレンステッド酸協奏触媒によるジアゾジエナールのカスケード環化反応

生成物の構造決定(NMR、X線結晶構造解析)


4: 解析手法

NMR、質量分析、X線結晶構造解析による生成物の同定

実験的および理論的手法による反応機構の解明


結果

1: ジアゾジエナールの合成と単離

多様なアルキルエステル体の調製に成功

安定な結晶として単離可能


2: カスケード環化反応

ロジウム/酸触媒によりジアゾジエナール、アルジミン、アリールアミンから単一の環化体が生成

6つの新規結合、3つの環、6つの連続する不斉中心が形成


3: 生成物の構造

X線結晶構造解析により、アザトリシクロ[6.2.1.04,11]ウンデカン骨格を確認

各種官能基化された多環式化合物が得られた


考察

1: 主要な発見

ジアゾジエナールがカスケード環化の良い基質となる点

ロジウム/Brønsted酸協奏触媒が鍵となる役割を果たした

複雑な環状構造を一段階で構築できる画期的な反応

高い原子経済性と位置・立体選択性が達成された


2: ジアゾジエナールの特徴

ジアゾ基とエナール部位の高い共役性が重要

独立した触媒反応では達成できない新規反応性


3: 反応機構

実験的・理論的検討から反応機構を提案

ジアゾジエナールの共役系と二次的π-π相互作用が、この複雑なカスケード環化反応を可能にしている

- 反応の開始

    ロジウム触媒によりジアゾジエナールからロジウムカルベノイドが生成

    カルベノイドがアルジミンと反応し、金属配位したジエニルアゾメチンイリド(DAY)を形成

- DAYの生成

    ロジウムから放出されたDAYは電荷の非局在化によりトリエノレートへの異性化が競争的に進行

    Brønsted酸存在下、DAYがアリールアミンと速やかに反応しアザトリエニルアゾメチンイリド(ATAY)を生成

- 6π電子環状反応

    ATAYの立体特異的な6π電子環状反応によりトランス体ジヒドロピロールが生じる

    この際、アリールとオレフィン間のπ-π相互作用が反応を促進

- アザマイケル付加とアザDiels-Alder反応

    Brønsted酸によりイミニウムイオンが生成

    アリールアミンのアザマイケル付加により中間体を与える

    カチオン-πおよびπ-π相互作用によりコンホメーション変化を経て、aza Diels-Alder反応が進行しシクロペンタ縮環4環式化合物(CPAT)を与える

- 最終生成物への変換
    CPATからの酸化的な芳香環化により、最終生成物が得られる
    生成物の構造中にもπ-π相互作用が確認された


4: 研究の限界点

基質の一般性と置換基の適用範囲に制限がある

大規模生産への展開が課題


結論

ジアゾジエナールがカスケード環化反応の新たな基質となることを実証

協奏触媒によりアザトリシクロ[6.2.1.04,11]ウンデカン骨格を直接的に構築可能

立体制御された6連続不斉中心を有する多環式化合物を効率的に合成


将来の展望

ジアゾジエナールの応用拡大が期待される分野での貢献が期待される

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