論文のタイトル: Copper-catalysed perarylation of cyclopentadiene: synthesis of hexaarylcyclopentadienes(銅触媒による環状ペンタジエンの多置換アリール化: ヘキサアリールシクロペンタジエンの合成)
著者: Yohan Gisbert, Pablo Simón Marqués, Caterina Baccini, Seifallah Abid, Nathalie Saffon-Merceron, Gwénaël Rapenne, Claire Kammerer
雑誌: Chemical Science
出版年: 2024年
背景
1: 研究の背景
シロール誘導体は光電子デバイスに広く使用されている
ヘキサフェニルシロールは凝集誘起発光(AIE)の代表例
一方、ヘキサフェニルシクロペンタジエンは等価な炭化水素だがほとんど研究されていない
2: 未解決の問題
現在のヘキサフェニルシクロペンタジエンの合成法は複雑で官能基許容性に乏しい
直接的な多置換アリール化反応が望まれる
3: 研究の目的
銅触媒を用いたシクロペンタジエンの一段階六重アリール化の開発
新規ヘキサアリールシクロペンタジエン類の合成と性質評価
方法
1: 銅触媒を用いたアリール化反応
マイクロ波加熱の利用
2: 基質
シクロペンタジエンまたはジルコノセンジクロリド
種々の置換基を有するアリールヨウ化物
3: 主要な評価項目
反応評価(NMR、X線結晶構造解析)
光学特性評価(UV-Vis、蛍光スペクトル)
収率
結果
1: 反応結果
最適条件下での反応例 (収率88%)
単結晶X線構造
2: 基質スコープ
収率27-61%
電子効果と立体効果の影響がそれぞれ確認された
3: 光学特性評価結果
凝集誘起発光(AIE)の確認
発光波長の制御可能性
考察
1: 主要な発見
6回の新規C-C結合形成が一段階で進行
平均収率92%/結合は高い分子複雑度形成能を示唆
2: 電子効果と立体効果の影響
電子求引性基の存在下では反応が進行しにくい
立体障害も許容範囲を超えると反応が阻害される
3: AIE性能
AIE活性な新規ヘキサアリールシクロペンタジエン類の創出
置換基制御で発光波長が調節可能
4: 反応機構
分子内フェニル基の[1,5]シグマトロピック移動が確認された
位置選択的多置換化が困難
5: 研究の限界点
高い基質許容性と官能基耐性が今後の課題
合成スケールアップ性の改善の必要性
結論
ヘキサアリールシクロペンタジエン類の革新的な一段階合成法の開発に成功
新規AIE活性化合物の創製と発光波長制御が可能に
将来の展望
拡張π共役系構築への応用が期待される
今後は反応の一般化と実用化に向けた検討が重要
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