2024年10月22日火曜日

Catch Key Points of a Paper ~0163~

論文のタイトル: C(sp3)–P cross-coupling of alkyl substrates with P(O)–H compounds and phosphites

著者: Jinyu Tang, Jinxuan Ni, Qian Chen

雑誌: Tetrahedron Letters 

巻: Volume149, 155266

出版年: 2024年


背景

1: 研究の背景

アルキルリン化合物は多岐にわたる応用がある

配位子、難燃剤、生物有機・医薬品化学、農薬など

C(sp3)–P結合構築の従来法には制限がある

過剰な有毒有機ハロゲン化物の使用

厳しい反応条件、基質適用範囲の限定


2: 研究の目的

C(sp3)–P結合形成の新規手法開発が必要

P(O)–H化合物やホスファイトを用いたクロスカップリング

C(sp3)–H結合のリン酸化反応

アルキルラジカル前駆体とホスファイトのカップリング


3: レビューの範囲

2020年以降のC(sp3)–Pクロスカップリング反応を概説

P(O)–H化合物とホスファイトをリン源として使用

C(sp3)–H結合やC(sp3)–LG結合を持つアルキル基質

光触媒や金属触媒を用いた新規手法に注目


方法

1: レビュー方法

2020年以降の関連論文を収集・分析

C(sp3)–P結合形成に関する最新の進展を整理

反応のタイプに基づいて2つに分類

C(sp3)–H結合を持つアルキル基質

C(sp3)–LG結合を持つアルキル基質


2: 反応の分類と評価

基質の種類: α-C(sp3)–H、ベンジルC(sp3)–H、遠隔C(sp3)–H

脱離基(LG)の種類: OH、NR2、COOH、CO2Phth、BF3K

触媒システム: 光触媒、金属触媒、無触媒条件

反応条件、収率、基質適用範囲、官能基許容性を評価


結果

1: C(sp3)–H結合のリン酸化

α-C(sp3)–H結合のリン酸化が多く報告

アミン、アルコール、エーテルなどの基質で成功

光触媒を用いた手法が多く開発されている

遠隔C(sp3)–H結合のリン酸化は比較的少ない


2: C(sp3)–LG結合のリン酸化

アルコールやアミン誘導体を用いた手法が開発

アルキルハライドの代替として環境に優しい

脱炭酸を伴うC(sp3)–Pクロスカップリングも報告

NHPI エステルやアルキルトリフルオロホウ酸塩を使用


3: 新規リン酸化試薬の開発

BecaPなどの新規リン酸化試薬が設計された

アルキルラジカルを効率的に捕捉可能

温和な光触媒条件下で反応が進行

幅広い1級・2級アルキル基質に適用可能


考察

1: 主要な進展

α-アミノホスホン酸合成の手法が多く開発

イミニウム中間体へのリン求核付加が一般的

遠隔C(sp3)–H結合や非活性化C(sp3)–H結合のリン酸化は課題


2: 主要な発見

アルキルラジカルのリン酸化が新たな可能性を示す

C(sp3)–LG結合(LG = CO2PhthやBF3K)を前駆体として利用

温和な条件下でC(sp3)–P結合形成が可能


3: 研究の限界

非活性化C(sp3)–H結合の直接リン酸化例は少ない

選択的なアルキルラジカル/ホスホリルラジカルカップリングは課題

不斉C(sp3)–Hリン酸化の応用例が限られている


結論

C(sp3)–Pクロスカップリング反応の進展を概説

アルキルラジカルのリン酸化が有望な戦略


将来の展望

非活性化C(sp3)–H結合の選択的リン酸化

電気化学的手法の適用

不斉C(sp3)–Hリン酸化の応用拡大

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