論文のタイトル: C(sp3)–P cross-coupling of alkyl substrates with P(O)–H compounds and phosphites
著者: Jinyu Tang, Jinxuan Ni, Qian Chen
雑誌: Tetrahedron Letters
巻: Volume149, 155266
出版年: 2024年
背景
1: 研究の背景
アルキルリン化合物は多岐にわたる応用がある
配位子、難燃剤、生物有機・医薬品化学、農薬など
C(sp3)–P結合構築の従来法には制限がある
過剰な有毒有機ハロゲン化物の使用
厳しい反応条件、基質適用範囲の限定
2: 研究の目的
C(sp3)–P結合形成の新規手法開発が必要
P(O)–H化合物やホスファイトを用いたクロスカップリング
C(sp3)–H結合のリン酸化反応
アルキルラジカル前駆体とホスファイトのカップリング
3: レビューの範囲
2020年以降のC(sp3)–Pクロスカップリング反応を概説
P(O)–H化合物とホスファイトをリン源として使用
C(sp3)–H結合やC(sp3)–LG結合を持つアルキル基質
光触媒や金属触媒を用いた新規手法に注目
方法
1: レビュー方法
2020年以降の関連論文を収集・分析
C(sp3)–P結合形成に関する最新の進展を整理
反応のタイプに基づいて2つに分類
C(sp3)–H結合を持つアルキル基質
C(sp3)–LG結合を持つアルキル基質
2: 反応の分類と評価
基質の種類: α-C(sp3)–H、ベンジルC(sp3)–H、遠隔C(sp3)–H
脱離基(LG)の種類: OH、NR2、COOH、CO2Phth、BF3K
触媒システム: 光触媒、金属触媒、無触媒条件
反応条件、収率、基質適用範囲、官能基許容性を評価
結果
1: C(sp3)–H結合のリン酸化
α-C(sp3)–H結合のリン酸化が多く報告
アミン、アルコール、エーテルなどの基質で成功
光触媒を用いた手法が多く開発されている
遠隔C(sp3)–H結合のリン酸化は比較的少ない
2: C(sp3)–LG結合のリン酸化
アルコールやアミン誘導体を用いた手法が開発
アルキルハライドの代替として環境に優しい
脱炭酸を伴うC(sp3)–Pクロスカップリングも報告
NHPI エステルやアルキルトリフルオロホウ酸塩を使用
3: 新規リン酸化試薬の開発
BecaPなどの新規リン酸化試薬が設計された
アルキルラジカルを効率的に捕捉可能
温和な光触媒条件下で反応が進行
幅広い1級・2級アルキル基質に適用可能
考察
1: 主要な進展
α-アミノホスホン酸合成の手法が多く開発
イミニウム中間体へのリン求核付加が一般的
遠隔C(sp3)–H結合や非活性化C(sp3)–H結合のリン酸化は課題
2: 主要な発見
アルキルラジカルのリン酸化が新たな可能性を示す
C(sp3)–LG結合(LG = CO2PhthやBF3K)を前駆体として利用
温和な条件下でC(sp3)–P結合形成が可能
3: 研究の限界
非活性化C(sp3)–H結合の直接リン酸化例は少ない
選択的なアルキルラジカル/ホスホリルラジカルカップリングは課題
不斉C(sp3)–Hリン酸化の応用例が限られている
結論
C(sp3)–Pクロスカップリング反応の進展を概説
アルキルラジカルのリン酸化が有望な戦略
将来の展望
非活性化C(sp3)–H結合の選択的リン酸化
電気化学的手法の適用
不斉C(sp3)–Hリン酸化の応用拡大
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