論文のタイトル: One-Pot Sulfonamide Synthesis Exploiting the Palladium-Catalyzed Sulfination of Aryl Iodides(ワンポット法を利用したスルホンアミド合成:アリールヨウ化物のパラジウム触媒スルフィン化の応用)
著者: Emmanuel Ferrer Flegeau, Jack M. Harrison, Michael C. Willis*
雑誌: Synlett
巻: Volume27, 101–105
出版年: 2016年
背景
1: 研究の背景(スルホンアミドの重要性)
スルホンアミド基は医薬品や農薬で広く応用されている
化学的・代謝的安定性、三次元構造、極性、結合性が特徴
様々な適応症の治療薬として開発されている
一般的にアリール(またはヘテロアリール)スルホニルクロリドとアミンの組み合わせで合成
2: 従来の合成法の限界
特定のヘテロアリールスルホニルクロリドは不安定
望ましいスルホニルクロリドへのアクセスが制限される
電子求引性芳香族置換反応の特性による生成物の制限
チオール中間体の調製と強力な酸化条件の使用が必要
3: 研究目的
アリールハライドを出発物質とする新しいスルホンアミド合成法の開発
SO2等価体DABSOとアミンを組み合わせた方法の確立
パラジウム(0)触媒を用いたスルフィン化反応の応用
前駆体有機金属試薬の使用を回避し、官能基許容性を向上
方法
1: 反応設計
アリールヨウ化物とDABSOの組み合わせによるアンモニウムスルフィネート中間体の形成
パラジウム(0)触媒を用いたスルフィン化反応
アミンと次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)水溶液の添加によるスルホンアミド形成
2: 反応条件の最適化
溶媒の評価:イソプロパノールが最適
触媒:Pd(OAc)2とPAd2Bu(CataCXium A)の組み合わせ
塩基:トリエチルアミン
温度:75°C
反応時間:16時間(スルフィネート形成)+ 90分(スルホンアミド形成)
3: 基質の適用範囲の検討
アリールヨウ化物の置換基効果の評価
アミン成分の多様性の検討
官能基許容性の確認
スケールアップ実験の実施
結果
1: アリールヨウ化物の適用範囲
中性および電子供与性置換基を持つ基質が良好に反応
オルト、メタ、パラ置換体全てが適用可能
パラ-SMe誘導体の成功は注目に値する
電子求引性置換基(ハロゲン、エステル、ニトリル、ケトン)も効率的に反応
2: アミン成分の適用範囲
一級アミンは一般的に良好な結果を示す
反応性の高い官能基(アセタール、三置換アルケン、ピリジル基)を含むアミンも適用可能
アニリン誘導体も基質として使用可能
アミノ酸誘導体も適用可能
3: スケールアップ実験
4.23 mmolスケール(1.0 gのアリールヨウ化物)で反応を実施
合成的に有用なスケールでの問題がないことを実証
考察
1: 方法の利点
簡便な操作:ワンポット法による合成が可能
広い基質適用範囲:様々なアリールヨウ化物とアミンが使用可能
官能基許容性:酸性および求電子性官能基の存在下で反応が進行
スケーラビリティ:グラムスケールでの合成が可能
2: 従来法との比較
前駆体有機金属試薦の使用を回避:官能基許容性の向上
スルホニルクロリド中間体を経由しない:不安定な中間体の問題を解決
SO2等価体DABSOの使用:取り扱いが容易で安全性が高い
パラジウム触媒の使用:温和な条件下での反応が可能
3: 研究の限界
アリールヨウ化物に限定:臭化物や塩化物への適用は未検討
パラジウム触媒の使用:コストと環境負荷の観点から課題
一部の基質でNCSの使用が必要:反応の汎用性に制限
結論
アリールヨウ化物からの新しいワンポット法スルホンアミド合成法を開発
広い基質適用範囲と高い官能基許容性を実現
従来法の問題点(不安定中間体、強力な酸化条件)を解決
将来の展望
医薬品・農薬合成への応用が期待される
今後の課題:他のハロゲン化物への適用、触媒の最適化
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