論文のタイトル: Visible Light-Enhanced C−H Amination of Cyclic Ethers with Iminoiodinanes(可視光増強によるイミノヨージナンを用いた環状エーテルのC-H アミノ化)
著者: Igor D. Jurberg, Rene A. Nome, Stefano Crespi, Teresa D. Z. Atvars, Burkhard König
雑誌: Advanced Synthesis & Catalysis
巻: Volume364, 4061-4068
出版年: 2022年
背景
1: 研究の背景
C-H官能基化は有機合成における重要な研究分野
C-Hアミノ化は高付加価値化合物の合成に特に重要
従来は金属触媒によるナイトレン転移が一般的
可視光を用いた反応促進が注目されている
2: 未解決の課題
多くの有機分子は可視光領域に吸収を持たない
光触媒が一般的に必要とされる
イミノヨージナンの可視光による直接活性化の可能性
環状エーテルのC-Hアミノ化への応用が未探索
3: 研究目的
イミノヨージナンの可視光による直接活性化を検討
環状エーテルのC-Hアミノ化反応の開発
反応機構の解明と最適化
置換基効果の調査
方法
1: 実験デザイン
イミノヨージナンと環状エーテルの反応を設計
青色LED (455 nm) を光源として使用
反応条件の最適化(溶媒、温度、光照射時間など)
生成物の単離と構造決定
2: 分析手法
NMRによる反応追跡と生成物の構造解析
UV-Vis分光法によるイミノヨージナンの吸収特性評価
発光分光法による励起状態の解析
DFT計算による電子状態の解析
3: 基質適用範囲の検討
異なる置換基を持つイミノヨージナンの合成と評価
様々な環状エーテルとの反応性の調査
反応の制限と限界の探索
熱的条件との比較実験
結果
1: 最適化条件
THFを溶媒とし、青色LED照射下で20分間反応
NaBH4による還元を経てアミノアルコールを71%収率で合成
熱的条件(60℃)では収率60%
光触媒の添加は収率向上に寄与せず
2: 基質適用範囲
様々な置換イミノヨージナンで収率23-72%を達成
電子供与性置換基(OMe)で最も高い収率(70%)
活性化された環状エーテルが良好な反応性を示す
立体的に込み合った基質では反応性が低下
3: 機構研究
KIE実験でC-H結合開裂が律速段階であることを確認
UV-Vis測定でイミノヨージナンの光吸収特性を解明
発光分光法で一重項・三重項ナイトレン中間体を観測
DFT計算で置換基効果と電子状態を理論的に説明
考察
1: 反応機構の提案
青色光照射によるイミノヨージナンの直接活性化
一重項ナイトレンによるC-H挿入経路
三重項ナイトレンによる水素原子移動と再結合経路
N,O-アセタール中間体の還元によるアミノアルコール生成
2: 置換基効果の考察
電子供与性基による反応性向上を確認
UV-Vis吸収と反応性の相関を見出す
DFT計算により置換基効果のメカニズムを解明
スピン-軌道相互作用の重要性を指摘
3: 既存手法との比較
金属触媒を必要としない環境調和型反応
可視光による反応加速効果を実証
熱的条件と比較して収率向上を達成
基質適用範囲の拡大に成功
4: 研究の限界点
一部の環状エーテルで反応性が低い
立体的に込み合った基質での制限
N,O-アセタール中間体の単離困難
光照射装置の最適化の余地
結論
イミノヨージナンの可視光活性化によるC-Hアミノ化を開発
環状エーテルからアミノアルコールの合成に成功
反応機構を分光学的・理論的に解明
将来の展望
さらなる基質拡大と反応条件の最適化が今後の課題
持続可能な有機合成への応用が期待される
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