2024年5月12日日曜日

Catch Key Points of a Paper ~0025~

論文のタイトル: The Role of Aryne Distortions, Steric Effects, and Charges in Regioselectivities of Aryne Reactions

著者: Jose M. Medina, Joel L. Mackey, Neil K. Garg, K. N. Houk

雑誌: Journal of the American Chemical Society

巻: 136, 15798-15805

出版年: 2014


背景

1: 研究の背景

アライン反応は複雑な分子を合成する有用な手法

しかし、置換基の影響でアライン反応の選択性が変わる

選択性を説明する従来の3つのモデル

    - 電荷制御モデル

    - 立体障害モデル 

    - アライン歪みモデル


2: 未解決の問題点  

アライン反応の選択性に影響する主要な要因は不明

3つのモデルのうち、どれが最も重要か分かっていない


3: 研究の目的

3-ハロベンザインの反応性と選択性を実験と計算で体系的に調査

アライン反応の選択性を支配する主要な要因を特定する


方法

1: 実験デザイン

様々な3-ハロベンザイン前駆体を合成

求核剤として N-メチルアニリンやベンジルアジドを使用

補足反応により生成物の比を測定


2: 計算手法

密度汎関数理論(DFT)を用いた遷移状態探索

反応経路の自由エネルギー変化を計算  

異性体比の理論予測と実験値を比較


結果

1: N-メチルアニリンを用いた実験結果

F、OMe置換体は高い選択性 

Cl置換体は中程度の選択性

Br、I置換体は低い選択性


2: ベンジルアジドを用いた実験結果  

OMe、F置換体は高い選択性

選択性はCl > Br > I の順に低下


3: 計算結果の概要

実験結果と計算結果は良く一致

置換基による歪みが大きいほど高い選択性

電荷や立体効果による影響は小さい  


考察  

1: アライン歪みが選択性を支配

置換基による歪みが遷移状態の安定性に影響  

歪みが大きいと特定の付加体が有利になる


2: 電荷効果は無視できる

ベンザイン環上の電荷は小さく、選択性に影響しない

簡単なCoulomb相互作用モデルでも説明できない


3: 立体効果の影響は小さい

原子半径の違いによる立体効果は予測と一致しない

置換基の大きさと選択性に相関がない  


4: 限界点

塩基性の高い求核剤では異なる挙動が予想される

他の置換基効果(π効果など)は検討していない


結論

3-ハロベンザイン反応の選択性はアライン歪みが主な決定因子

アライン歪みモデルはアライン反応の解析に有用


今後の展望

複雑な生理活性分子の合成へのアライン活用が期待される

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