論文のタイトル: Sustainable Production of Reduced Phosphorus Compounds: Mechanochemical Hydride Phosphorylation Using Condensed Phosphates as a Route to Phosphite(持続可能な低還元リン化合物の生産: 高縮合リン酸塩を用いる機械化学的ヒドリドリン酸化によるリン酸塩からのリン酸の合成)
著者: Feng Zhai, Tiansi Xin, Michael B. Geeson, Christopher C. Cummins
雑誌: Journal of the American Chemical Society
出版年: 2022
背景
1: 研究の背景
リン酸塩の持続可能な利用の必要性
リン酸塩排出による富栄養化が環境問題
排水処理で回収されるリン酸塩の有効活用が課題
2: リン化合物製造の従来法の問題点
従来の熱的製造プロセスは白リン(P4)を経由
高温、環境負荷の大きいプロセス
3: 研究の目的
リン酸塩からリン酸(+3価)を直接合成する新規ルートの開発
安全で持続可能な製造プロセスの確立
方法
1: 機械化学的手法の採用
ボールミルによる固体反応
溶媒を使わず、効率的な混合と反応が可能
2: 出発原料と条件検討
各種高縮合リン酸塩を出発原料に検討
水素化物源および反応条件を最適化
3: 生成物の分析
31P NMRによる生成物の同定と定量
生成機構の解析
4: バイオ由来ポリリン酸塩の利用
パン酵母から単離したポリリン酸塩を原料に適用
前処理条件の最適化
結果
1: 各種リン酸塩からのリン酸生成
リン3量体から58%、ピロリン酸塩から44%の収率
環状リン酸塩から過還元生成物も確認
2: 最適条件下でのリン酸生成
ピロリン酸塩とKHの組み合わせが最適
ピロリン酸塩からの44%の収率は反応性のリンユニットの88%に相当
3: バイオ由来ポリリン酸塩の利用
未処理ではリン酸収率28%と低い
真空焼成処理で収率が42%に向上
考察
1: リン酸への選択的還元の鍵
直鎖状リン酸塩が良好なリン酸前駆体
環状構造は過還元を招く
2: 過還元の経路
生成したリン酸がさらに還元されて低原子価リン化合物に
ポリリン酸塩の存在が過還元を促進
3: バイオ由来原料の有用性
ポリリン酸塩は潜在的な原料源
不純物の除去が収率向上に重要
4: 本手法の意義
白リンを経由しない直接的なリン酸製造プロセス
持続可能で環境調和型のプロセス
5: 課題と展望
スケールアップと連続化に向けた検討が必要
バイオ由来ポリリン酸の利用拡大へ向けた最適化
結論
持続可能なリン資源循環への一里塚
リン酸塩からリン酸への直接変換に成功
安全で環境調和な製造プロセスを実証
将来の展望
リン資源の有効利用とリン循環の促進が期待される
バイオリン酸塩の利用拡大に向けた更なる研究が必要
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