2024年5月15日水曜日

Catch Key Points of a Paper ~0028~

論文のタイトル: Pentamethylphenyl (Ph*) ketones: Unique building blocks for organic synthesis

著者: Roly J. Armstrong, Timothy J. Donohoe

雑誌: Tetrahedron Letters

巻: 74, 153151

出版年: 2021


背景

1: 研究の背景

既存の芳香族ケトンは平面構造を好む

ペンタメチルフェニル(Ph*)ケトンは特異な反応性を示す

カルボニル基と芳香環が90度ねじれた構造

求核剤の1,2-付加を抑制

エノラート形成が可能


2: 未解決の問題点

Ph*ケトンの特性を利用した新規な化学反応の可能性

    - 水素借用型アルキル化反応

    - 環化反応

    - 不斉アルドール反応など

有機合成ビルディングブロックとしての可能性は未開拓


3: 研究の目的

Ph*ケトンの独自の反応性を活かした新規変換反応の開発

様々な有用官能基への変換法の確立

有機合成におけるPh*ケトンの応用範囲拡大


方法

1: Ph*ケトンの合成

ペンタメチルベンゼンと酸塩化物のフリーデル・クラフツ反応  

エーテル塩基存在下のエノラート形成と求電子剤との反応


2: 反応例  

水素借用的アルキル化反応

    - 遷移金属触媒とアルコールを用いたワンポット反応

    - 1級、2級アルコールの両方が可能


アヌレーション反応 

    - 1,5-ジオールとの環化反応


結果

1: 水素借用的アルキル化

α-分岐ケトン生成物を定量的収率で合成可能

    - ベンジル性/非ベンジル性の1級アルコール

    - エーテル、アミン基含有基質に対応


β-分岐生成物の不斉合成も達成

    - キラル配位子で高いエナンチオ選択性


2: アヌレーション反応  

ジオールとの環化で多様な環状ケトンを合成

    - 5員環、6員環、7員環環状体  

    - 高い立体選択性


不斉触媒的変換で高いエナンチオ選択性

    - キラル環化生成物の一段階構築


考察

1: Ph*基の立体反発によるユニークな反応性

カルボニル基の1,2-付加を抑制

エノラート形成を許容  


2: 環境調和型プロセス

水素借用型アルキル化は水のみを副生成物とする


3: 芳香環の嵩高さが選択性に影響  

ジアステレオ選択性向上

エナンチオ選択性向上


4: 結晶性の向上による利点

単結晶X線解析が可能

再結晶による光学純度向上  


5: 限界点

γ-アミノPh*ケトン類でラセミ化が問題になり、窒素へのトリチル保護基の導入が必要

Ph*基の導入が困難な基質では新規導入法の開発が必要


結論

Ph*ケトンの特異な構造と反応性が有機合成に有用

    - 新規変換反応の開発が可能

    - 高選択的な環化や不斉合成  

官能基変換法の確立で合成等価体としての価値向上


将来の展望

今後のさらなる活用と方法論拡張が期待される

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