論文のタイトル: Eosin, blue LEDs and DIPEA are employed in a simple synthesis of (poly)cyclic O,O- and N,O-acetals(O,O-およびN,O-アセタールの簡単な合成におけるエオシン、青色LEDおよびDIPEAの使用)
著者: Ioannis Papadopoulos, Artemis Bosveli, Tamsyn Montagnon, Ioannis Zachilas, Dimitris Kalaitzakis, Georgios Vassilikogiannakis
雑誌: Chemical Communications
出版年: 2024
背景
1: 研究の背景
剛直な(ポリ)環状構造は医薬品開発で有利
sp3炭素が多く、適切に配置されたヘテロ原子を含む
タンパク質との結合が強く、膜透過能が高い
2: 未解決の問題
基質の複雑な前駆体合成が必要
金属や有毒な試薬の使用
高エネルギーUV光の使用
3: 研究の目的
単純な条件で(ポリ)環状O,O-およびN,O-アセタールを合成する新規一段階手法の開発
可視光線、エオシン光触媒、グリーン溶媒の使用
方法
1: 研究デザイン
新規光触媒反応の開発と最適化
2: 基質と試薬
エノールエーテル、N-アシルエナミン、Boc保護エナミンを基質
エオシン光増感剤、DIPEA、青色LEDを使用
3: 反応検討
モデル基質で反応条件を確立
各基質での反応性を検討
4: 生成物の同定・収率測定
1H NMR、質量分析などで生成物を同定
生成物の単離収率を決定
結果
1: エノールエーテルの反応結果
モデル基質からのO,O-アセタール生成 (75%収率)
様々なエノールエーテル由来のO,O-アセタール合成(65-80%収率)
2: N-アシルエナミンの反応結果
N-アシルエナミン由来のN,O-アセタール合成 (63-76%収率)
3: Boc保護エナミンの反応結果
Boc保護エナミン由来のN,O-アセタール合成 (42-65%収率)
一段階手法による(ポリ)環状アセタールの簡便合成
考察
1: 主要な発見
可視光線/エオシン/DIPEA条件でStork-Ueno型環化が進行
これまで困難だった(ポリ)環状アセタールが簡便に合成可能
エノールエーテル、N-アシルエナミン、Boc保護エナミンに適用可能
2: 先行研究との比較
従来法に比べ、基質の前合成が簡単
金属や有毒試薬を使用せず、環境負荷が小さい
3: 反応機構の考察
DIPEAの多機能的な役割が重要
光増感剤の励起状態を失活、ラジカル中間体の発生
4: 限界点
ステップ数が2段階に限られる
ラジカル反応のため、一部の基質では適用が困難
結論
可視光線/エオシン/DIPEA条件で(ポリ)環状O,O-およびN,O-アセタールが簡便に合成可能
基質の幅が広く、環境負荷が小さい新規一段階手法
将来の展望
今後は反応の適用範囲拡大や連続的な反応開発が期待される
医薬品開発など幅広い分野への波及効果が見込まれる
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