論文のタイトル: Catalyst-Free, Three-Component Synthesis of Amidinomaleimides(触媒フリーな三成分カップリングによるアミジノマレイミドの合成)
著者: Wyatt R. Swift-Ramirez, Lindsay A. Whalen, Lia K. Thompson, Kaylee E. Shoemaker, Aris R. Rubio, and Gregory A. Weiss*
雑誌: Journal of Organic Chemistry
巻: Volume89, Issue18, 13756–13761
出版年: 2024年
背景
1: アミジン化合物の重要性
アミジン官能基は多様な生物活性を持つ
抗菌作用、抗炎症作用、鎮痛作用を示す
抗血小板作用も報告されている
医薬品開発において注目される構造
2: 従来の合成法の課題
従来の合成法は金属触媒を必要とする
高温条件が必要
強い電子吸引性アジドを必要とする
グリーンケミストリーの観点から改善が必要
3: 研究の目的
触媒フリーな三成分カップリング反応の開発
マイルドな条件での合成法確立
水系溶媒での反応を可能に
カラムクロマトグラフィーなしでの精製を目指す
方法
1: 反応設計
アジドマレイミドを主要な出発物質として使用
アルデヒドと二級アミンを反応基質として選択
エナミン中間体を経由する反応機構を想定
一段階での多成分カップリングを計画
2: 最適化条件の検討
溶媒の種類と比率の検討
反応温度の影響評価(25-60℃)
反応時間の最適化(0.5-18時間)
基質濃度の調整
3: 基質適用範囲の評価
様々なアルデヒド類での検討
異なる二級アミン類での検討
異なるマレイミド類での検討
トリペプチドでの反応性確認
結果
1: 最適反応条件
溶媒:メタノール/酢酸エチル混合系が最適
温度:40℃で良好な収率
反応時間:18時間で高収率
基質比:1.25当量の過剰量が最適
2: 基質適用範囲
アルデヒド:62-66%の収率
二級アミン:68-89%の収率
環状・非環状アミン共に良好
トリペプチドでも87-91%の変換率
3: 生成物の特徴
E体選択的な生成
DMSO中で4ヶ月安定
多くの場合カラム精製不要
最大4つの異なる置換基導入可能
考察
1: 反応機構の考察
エナミン形成が初期段階
1,3-双極子付加反応が進行
トリアゾリン中間体を経由
窒素放出による反応の進行
2: 本手法の利点
触媒フリーな条件
マイルドな反応条件
簡便な精製方法
モジュラー性の高い合成法
3: 研究の限界点
シリカゲルでの分解
チオール-マレイミドクリック反応との非互換性
一部の基質での低収率
未保護カルボン酸との非互換性
結論
新規な触媒フリー三成分カップリング反応の開発
広い基質適用範囲の実証
簡便な精製法の確立
将来の展望
医薬品合成への応用
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