論文のタイトル: β3-Tryptophans by Iron-Catalyzed Enantioselective Amination of 3-Indolepropionic Acids(鉄触媒を用いた3-インドールプロピオン酸の不斉アミノ化によるβ3-トリプトファンの合成)
著者: Bing Zhou, Marisa I. Ih, Suyang Yao, Marcel Hemming, Sergei I. Ivlev, Shuming Chen,* and Eric Meggers*
雑誌: Organic Letters
巻: Volume26, Issue39, 8361–8365
出版年: 2024年
背景
1: β-アミノ酸の重要性
医薬品、天然物、改変ペプチドの合成に重要な構成要素
β3位に置換基を持つβ-アミノ酸は特に有用
従来はArndt-Eistert法による合成が一般的
触媒的不斉合成法の開発が求められている
2: 従来の合成法の課題
β3-アミノ酸の触媒的不斉合成には複数のステップが必要
直接的なC-N結合形成が困難
環境負荷の少ない合成法の開発が必要
トリプトファン誘導体の選択的合成が特に課題
方法
1: 合成方法の概要
鉄触媒を用いたC-H結合のアミノ化反応
カルボン酸基による位置選択的な反応制御
BocNHOMsをアミノ化剤として使用
-23℃での低温反応条件
2: 最適化条件
触媒:(R)-Fe3 (10 mol%)
溶媒:ジクロロメタン
塩基:ピペリジン
反応時間:17時間
窒素雰囲気下での反応
結果
1: 基質適用範囲
インドール5位置換体:収率46-72%、ee 94->99.5%
インドール6位置換体:収率53-62%、ee 97->99.5%
メチル基の位置効果を確認
α位メチル化も可能(収率63%、ee >99%)
考察
1: 反応機構の考察
DFT計算により反応経路を解明
β位での選択的な水素原子転移を確認
インドール基の電子的効果が重要
ラジカル中間体の安定化効果を確認
2: 高い立体選択性の理由
初期の選択性は88% ee
反応時間とともにeeが向上
マイナー異性体の選択的分解を確認
最終的に>99% eeを達成
結論
β3-トリプトファンの初めての触媒的不斉合成法を確立
環境調和型の鉄触媒を使用
高い立体選択性を実現
将来の展望
ペプチド合成への応用が期待される
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