2024年11月11日月曜日

Catch Key Points of a Paper ~0183~

論文のタイトル: β3-Tryptophans by Iron-Catalyzed Enantioselective Amination of 3-Indolepropionic Acids(鉄触媒を用いた3-インドールプロピオン酸の不斉アミノ化によるβ3-トリプトファンの合成)

著者: Bing Zhou, Marisa I. Ih, Suyang Yao, Marcel Hemming, Sergei I. Ivlev, Shuming Chen,* and Eric Meggers*

雑誌: Organic Letters

巻: Volume26, Issue39, 8361–8365

出版年: 2024年


背景

1: β-アミノ酸の重要性

医薬品、天然物、改変ペプチドの合成に重要な構成要素

β3位に置換基を持つβ-アミノ酸は特に有用

従来はArndt-Eistert法による合成が一般的

触媒的不斉合成法の開発が求められている


2: 従来の合成法の課題

β3-アミノ酸の触媒的不斉合成には複数のステップが必要

直接的なC-N結合形成が困難

環境負荷の少ない合成法の開発が必要

トリプトファン誘導体の選択的合成が特に課題


方法

1: 合成方法の概要

鉄触媒を用いたC-H結合のアミノ化反応

カルボン酸基による位置選択的な反応制御

BocNHOMsをアミノ化剤として使用

-23℃での低温反応条件


2: 最適化条件

触媒:(R)-Fe3 (10 mol%)

溶媒:ジクロロメタン

塩基:ピペリジン

反応時間:17時間

窒素雰囲気下での反応


結果

1: 基質適用範囲

インドール5位置換体:収率46-72%、ee 94->99.5%

インドール6位置換体:収率53-62%、ee 97->99.5%

メチル基の位置効果を確認

α位メチル化も可能(収率63%、ee >99%)


考察

1: 反応機構の考察

DFT計算により反応経路を解明

β位での選択的な水素原子転移を確認

インドール基の電子的効果が重要

ラジカル中間体の安定化効果を確認


2: 高い立体選択性の理由

初期の選択性は88% ee

反応時間とともにeeが向上

マイナー異性体の選択的分解を確認

最終的に>99% eeを達成


結論

β3-トリプトファンの初めての触媒的不斉合成法を確立

環境調和型の鉄触媒を使用

高い立体選択性を実現


将来の展望

ペプチド合成への応用が期待される

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