論文のタイトル: Stereodivergent Chirality Transfer by Noncovalent Control of Disulfide Bonds(非共有結合による立体選択的なジスルフィド結合のキラリティー転写)
著者: Qi Zhang, Stefano Crespi, Ryojun Toyoda, Romain Costil, Wesley R. Browne, Da-Hui Qu,* He Tian, and Ben L. Feringa*
雑誌: Journal of the American Chemical Society
巻: Volume144, Issue10, 4376-4382
出版年: 2022年
背景
1: 研究の背景(生体分子におけるキラリティーの重要性)
キラリティーは「生命の特徴」として知られる重要な性質
アミノ酸などのホモキラリティーは生命維持に不可欠
タンパク質構造においてジスルフィド結合は重要な役割を果たす
ジスルフィド結合の立体化学は生体分子の機能に影響を与える
2: 研究の課題(ジスルフィド結合のキラリティー制御)
ジスルフィド結合は動的な立体異性を示す
アミノ酸からジスルフィド結合へのキラリティー転写機構は不明
水素結合によるキラリティー制御の可能性
分子レベルと超分子レベルでのキラリティー制御が必要
方法
1: 分析手法
円二色性(CD)分光法による立体構造解析
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)による水素結合解析
核磁気共鳴分光法(NMR)による分子構造解析
密度汎関数理論(DFT)による計算化学的解析
結果
1: 分子内キラリティー転写
S-S...H-N水素結合の形成を確認
温度依存的なキラリティー転写を観察
溶媒の極性がキラリティー転写に影響
エンタルピー変化とエントロピー変化を定量的に評価
2: 結晶構造解析
超分子ヘリカル構造の形成を確認
分子間C=O...H-N水素結合の存在
反平行なヘリカルストランドの配列
DNAの二重らせん構造に類似した特徴
考察
1: キラリティー転写のメカニズム
水素結合が立体制御に重要な役割を果たす
溶液中と固体状態で異なるキラリティー転写機構
置換基効果がキラリティー転写に影響
Thorpe-Ingold効果による構造制御
結論
ジスルフィド結合のキラリティー制御機構を解明
水素結合による立体選択的なキラリティー転写を実証
分子設計による超分子構造制御の可能性を示唆
将来の展望
タンパク質構造制御への応用
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