2024年9月10日火曜日

Catch Key Points of a Paper ~0123~

論文のタイトル: Complex Boron-Containing Molecules through a 1,2-Metalate Rearrangement/anti-S N 2′ Elimination/Cycloaddition Reaction Sequence(複雑なホウ素含有分子の合成: 1,2-メタレート転位/anti-SN2'脱離/環化付加反応の連続)

著者: Chloe Tillin, Raphael Bigler, Renata Calo-Lapido, Beatrice S. L. Collins, Adam Noble, Varinder K. Aggarwal

出版: Synlett

巻: 30, 449-453

出版年: 2019年


背景

1: 研究背景

ホウ素エステルは有機合成で非常に多用途

立体特異的な変換反応が多数存在

α-アミノホウ素酸はセリンプロテアーゼの強力な阻害剤

複雑な構造を持つアルキルホウ素エステルの合成は課題


2: 未解決の問題

高度に官能基化された有機ホウ素分子の合成法が限られている

複数の直交した反応性を持つ分子の合成が困難

立体選択的な合成法の開発が必要


3: 研究目的

複雑な三次元構造を持つホウ素化合物の合成法開発

高い立体選択性と官能基許容性を実現

ワンポット反応による効率的な合成を目指す


方法

1: 反応設計

1,2-メタレート転位/anti-SN2'脱離の連続反応を利用

脱芳香化中間体をDiels-Alder環化付加反応で捕捉

PTADをジエノフィルとして使用


2: 反応条件の最適化

リチオ化ベンジルアミンとホウ素エステルから出発

ClCO2CMe2CCl3でアミンを活性化

PTADを添加して室温で1時間撹拌


3: 基質適用範囲の検討

様々なホウ素エステル基質を検討

置換ベンジルアミン類の反応性を評価

光学活性なα-メチルベンジルアミンを使用


結果

1: ホウ素エステル基質の適用範囲

かさ高いホウ素エステルでは高いsyn選択性 (17:1 ~ >20:1 dr)

小さなホウ素エステルではanti選択性 (1:1.6 ~ 1:3.0 dr)

様々な官能基(Boc保護アミン、アジド、アルデヒドなど)が許容される


2: ベンジルアミン基質の適用範囲

メチル基やフッ素置換基が許容される

電子豊富なベンジルアミンは単離が困難

収率34-83%、高いジアステレオ選択性 (>20:1 dr)


3: 光学活性基質の反応

光学純度を高く保持して反応が進行 (95:5 er)

高いジアステレオ選択性 (>20:1 dr)

マッチド/ミスマッチド効果は観察されず


考察

1: ジアステレオ選択性の考察

かさ高いR基ではBpin基の方が立体的に小さい

小さなR基ではBpin基の方が立体的に大きい

フェニル基では中間的な選択性を示す


2: 立体特異性の考察

ボロネート錯体の低エネルギー配座が選択的にN-アシル化

高い立体特異性でInt-I中間体が生成

環化付加過程で立体化学が保持される


3: 反応の有用性

複雑な三次元構造を一段階で構築可能

高度に官能基化された分子が得られる

光学活性な三級ホウ素化合物の合成法として有用


4: 研究の限界

電子豊富なベンジルアミンでは単離が困難

一部の基質で低いジアステレオ選択性

PTADのみが有効なジエノフィル


結論

1,2-メタレート転位/anti-SN2'脱離/環化付加の連続反応を開発

複雑な三次元構造を持つホウ素化合物の立体選択的合成に成功

高い官能基許容性と光学純度の保持を実現


将来の展望

得られた化合物の官能基変換

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