2024年9月17日火曜日

Catch Key Points of a Paper ~0130~

論文のタイトル: A Stoichiometric Haloform Coupling for Ester Synthesis with Secondary Alcohols(二級アルコールを用いるエステル合成のための化学量論的ハロホルムカップリング反応)

著者: Albert C. Rowett, Stephen G. Sweeting, David M. Heard, Alastair J. J. Lennox*

雑誌: Angewandte Chemie International Edition

出版年: 2024年


背景

1: ハロホルム反応の背景

1822年にG.-S. Serullasによって初めて報告された最古の有機合成反応の1つ

メチルケトンからカルボン酸への変換に広く利用されている

医薬品、天然物、香料の合成などに応用されている


2: エステル合成における課題

1944年にメチルエステル合成への応用が発見された

単純な一級アルコールでの反応は確立されている

二級アルコールを用いた反応例はほとんどない

溶媒量のアルコールが必要とされ、複雑なエステル合成に制限がある


3: 研究の目的

メチルケトンと1当量の広範囲なアルコールのカップリング反応の開発

一級および二級アルコールの両方に適用可能な一般的なハロホルム反応の確立

従来のハロホルム反応では合成困難だった構造的に複雑なエステルの直接構築


方法

1: 反応条件の最適化

一級アルコールを用いた反応条件の最適化

二級アルコールに適した反応条件の探索

ヨウ素とDBUを用いた無水条件下での反応


2: 機構解析と速度論的モデリング

競争実験による一級と二級アルコールの反応性比較

19F NMRを用いた反応時間経過の追跡

COPASIソフトウェアを用いた詳細な反応速度論モデルの構築


3: 基質適用範囲の探索

電子的に多様なアセトフェノン誘導体の検討

様々な一級および二級アルコールの適用

天然物由来の二級アルコールを含む複雑な基質の検討


結果

1: 一級アルコールとの反応

電子中性、電子不足、電子豊富な一級ベンジルアルコールが成功裏にカップリング

脂肪族一級アルコール、N-およびO-ヘテロ環状アルコールも適用可能

α,β-不飽和メチルケトンも適切な基質として機能


2: 二級アルコールとの反応

電子不足および電子豊富なベンジルアルコールが適合

立体的に嵩高いベンジルアルコールも反応可能

脂肪族二級アルコールも良好な収率で反応


3: 反応機構の解明

アセトフェノンのヨウ素化が平衡状態にあることを発見

二級アルコールの置換反応が一級アルコールよりも大幅に遅いことを確認

DBU·HIの生成が二級アルコールを用いた場合のエステル形成を阻害


考察

1: 反応条件の最適化

ヨウ素とDBUの濃度を上げることで、トリヨード中間体の生成を促進

モレキュラーシーブスの添加によりカルボン酸副生成物を除去

二級アルコールに適した反応条件を確立


2: 反応機構の考察

トリヨードアセトフェノン中間体の存在を示唆

DBU·HIによる脱ヨウ素化と二級アルコールによる置換反応の競合を提案

反応速度論モデルによる予測と実験結果の一致


3: 基質適用範囲の広さ

電子的に多様なアセトフェノン誘導体が適用可能

立体的に嵩高い二級アルコールも良好な収率で反応

天然物由来の複雑な二級アルコールにも適用可能


4: 研究の意義と限界

従来困難だった二級アルコールを用いたエステル合成を実現

反応機構の詳細な解明により、新たな反応設計の指針を提供

一部の電子豊富な芳香族化合物や端末アルキンには適用困難


結論

一級および二級アルコールに適用可能な一般的なハロホルムカップリング反応を開発

反応機構の解明により、効率的な二級アルコールのカップリングを実現

複雑な構造を持つエステルの直接合成が可能に


将来の展望

今後、より幅広い基質への適用や大規模合成への展開が期待される

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