2024年9月15日日曜日

Catch Key Points of a Paper ~0128~

論文のタイトル: Streamlining the Synthesis of Pyridones through Oxidative Amination of Cyclopentenones

著者: Bence B. Botlik, Micha Weber, Florian Ruepp, Kazuki Kawanaka, Patrick Finkelstein, and Bill Morandi*

出版: Angewandte Chemie International Edition 

巻: e202408230

出版年: 2024


背景

1: 研究の背景(ピリドンの重要性)

N-ヘテロ環化合物は有機化学で広く使用される

FDA承認薬の半数以上にN-ヘテロ環が含まれる

ピリドンは上位200の医薬品に5つ含まれる

有機金属化学でも広く使用される


2: 未解決の課題(従来のピリドン合成法の課題)

古典的な縮合プロセスは長工程を要する

前駆体の前機能化が必要

過酷な反応条件を使用

汎用性に欠ける


3: 研究の目的

シクロペンテノンからピリドンへの直接変換法の開発

酸化的アミノ化による炭素骨格への窒素原子導入

操作が簡単で迅速な合成法の確立

官能基許容性と位置選択性の向上


方法

1: 反応設計

シクロペンテノンからシリルエノールエーテルを形成

超原子価ヨウ素試薬と窒素源を用いた窒素原子挿入

芳香化によるピリドン形成


2: 反応条件の最適化

シリル化剤の検討 (TBS、TIPS、TMSなど)

酸化剤の選択 (PIDA、PhI(OPiv)2、PIFAなど)

窒素源の検討 (カルバミン酸アンモニウム、塩化アンモニウム+炭酸カリウム)

溶媒系の最適化 (THF:メタノール = 1:1)


3: 反応スコープの検討

様々な置換基を持つシクロペンテノン誘導体の使用

1-インダノン誘導体を用いたイソキノリノン合成

官能基許容性の評価 (ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミド、アミンなど)


4: 15N標識化合物の合成

15NH4Clを用いた同位体標識ピリドンの合成

15N-ピルフェニドン類似体の合成

15N-キニソカインの合成


結果

1: 最適反応条件

TBSOTf、PIDA、カルバミン酸アンモニウムの組み合わせが最適

THF:メタノール = 1:1の溶媒系

室温で30分以内に反応完結


2: 基質スコープ

無置換および3-アルキル/アリール置換ピリドン合成に成功

イソキノリノン誘導体の位置選択的合成を達成

多置換ピリドンの合成も可能 (2k2l-2o)


3: 官能基許容性

ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミド、アミン、エステル、アルキンなどが許容

15N標識化合物の合成に成功 (15N-2f15N-2o15N-2s)

グラムスケール合成と誘導体化にも成功 (2c)


考察

1: 反応の特徴

操作が簡単で迅速な一段階合成

温和な条件下での反応 (室温、短時間)

完全な位置選択性を示す

広い官能基許容性


2: 従来法との比較

ベックマン転位とは異なる位置選択性 (2f")

前駆体の前機能化が不要

過酷な条件を必要としない


3: 15N標識化合物の意義

NMR研究への応用が可能

反応メカニズム解明への貢献

医薬品合成への応用 (15N-ピルフェニドン類似体、15N-キニソカイン)


4: 反応メカニズムの考察

シリルエノールエーテルからN-ヨードニウムアジリジン中間体の形成

環開裂とシリル基の脱離

芳香化によるピリドン形成


5: 研究の限界点

一部の基質で収率が中程度

反応メカニズムの詳細な解明が必要

さらなる基質スコープの拡大の可能性


結論

シクロペンテノンからピリドンへの効率的な合成法を開発

温和な条件、高い位置選択性、広い官能基許容性を実現

15N標識化合物の簡便な合成法を確立


将来の展望

学術研究および産業応用への貢献

さらなる反応メカニズム解明と基質スコープ拡大

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