論文のタイトル: Streamlining the Synthesis of Pyridones through Oxidative Amination of Cyclopentenones
著者: Bence B. Botlik, Micha Weber, Florian Ruepp, Kazuki Kawanaka, Patrick Finkelstein, and Bill Morandi*
出版: Angewandte Chemie International Edition
巻: e202408230
出版年: 2024
背景
1: 研究の背景(ピリドンの重要性)
N-ヘテロ環化合物は有機化学で広く使用される
FDA承認薬の半数以上にN-ヘテロ環が含まれる
ピリドンは上位200の医薬品に5つ含まれる
有機金属化学でも広く使用される
2: 未解決の課題(従来のピリドン合成法の課題)
古典的な縮合プロセスは長工程を要する
前駆体の前機能化が必要
過酷な反応条件を使用
汎用性に欠ける
3: 研究の目的
シクロペンテノンからピリドンへの直接変換法の開発
酸化的アミノ化による炭素骨格への窒素原子導入
操作が簡単で迅速な合成法の確立
官能基許容性と位置選択性の向上
方法
1: 反応設計
シクロペンテノンからシリルエノールエーテルを形成
超原子価ヨウ素試薬と窒素源を用いた窒素原子挿入
芳香化によるピリドン形成
2: 反応条件の最適化
シリル化剤の検討 (TBS、TIPS、TMSなど)
酸化剤の選択 (PIDA、PhI(OPiv)2、PIFAなど)
窒素源の検討 (カルバミン酸アンモニウム、塩化アンモニウム+炭酸カリウム)
溶媒系の最適化 (THF:メタノール = 1:1)
3: 反応スコープの検討
様々な置換基を持つシクロペンテノン誘導体の使用
1-インダノン誘導体を用いたイソキノリノン合成
官能基許容性の評価 (ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミド、アミンなど)
4: 15N標識化合物の合成
15NH4Clを用いた同位体標識ピリドンの合成
15N-ピルフェニドン類似体の合成
15N-キニソカインの合成
結果
1: 最適反応条件
TBSOTf、PIDA、カルバミン酸アンモニウムの組み合わせが最適
THF:メタノール = 1:1の溶媒系
室温で30分以内に反応完結
2: 基質スコープ
無置換および3-アルキル/アリール置換ピリドン合成に成功
イソキノリノン誘導体の位置選択的合成を達成
多置換ピリドンの合成も可能 (2k、2l-2o)
3: 官能基許容性
ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アミド、アミン、エステル、アルキンなどが許容
15N標識化合物の合成に成功 (15N-2f、15N-2o、15N-2s)
グラムスケール合成と誘導体化にも成功 (2c)
考察
1: 反応の特徴
操作が簡単で迅速な一段階合成
温和な条件下での反応 (室温、短時間)
完全な位置選択性を示す
広い官能基許容性
2: 従来法との比較
ベックマン転位とは異なる位置選択性 (2f")
前駆体の前機能化が不要
過酷な条件を必要としない
3: 15N標識化合物の意義
NMR研究への応用が可能
反応メカニズム解明への貢献
医薬品合成への応用 (15N-ピルフェニドン類似体、15N-キニソカイン)
4: 反応メカニズムの考察
シリルエノールエーテルからN-ヨードニウムアジリジン中間体の形成
環開裂とシリル基の脱離
芳香化によるピリドン形成
5: 研究の限界点
一部の基質で収率が中程度
反応メカニズムの詳細な解明が必要
さらなる基質スコープの拡大の可能性
結論
シクロペンテノンからピリドンへの効率的な合成法を開発
温和な条件、高い位置選択性、広い官能基許容性を実現
15N標識化合物の簡便な合成法を確立
将来の展望
学術研究および産業応用への貢献
さらなる反応メカニズム解明と基質スコープ拡大
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