論文のタイトル: Stereoselective Access to Diverse Alkaloid-Like Scaffolds via an Oxidation/Double-Mannich Reaction Sequence(酸化/二重マンニッヒ反応シーケンスによる多様なアルカロイド様骨格への立体選択的アクセス)
著者: Charles P. Mikan, Joseph O. Watson, Ryan Walton, Paul G. Waddell, Jonathan P. Knowles
出版: Organic Letters
巻: 26, 26, 5549–5553
出版年: 2024
背景
1: 研究の背景
新規小分子骨格へのアクセスは有機化学者にとって重要
3次元性の高い骨格は臨床試験での成功率が高い
架橋された二環式・多環式構造は生物活性が高く、合成的関心も高い
2: 未解決の課題
アルカロイド構造への合成アクセスは複雑な合成経路に限定されている
各合成経路は通常1つの環系にしかアクセスできない
より広範なアルカロイド様化学空間へのアクセスが望まれている
3: 研究の目的
簡単なアルケンから複雑な多環式骨格への変換法の開発
立体選択的な変換プロセスの確立
得られた骨格の多様な誘導体化の可能性の探索
方法
1: 合成戦略
ノルボルネン誘導体を出発物質として使用
酸化的開裂と二重マンニッヒ反応の連続反応を実施
tert-ブチルエステル基を立体制御に利用
2: 反応条件の最適化
二段階の酸化的開裂プロセスを開発
水-ジオキサン混合溶媒系を使用
ベンジルアミンを窒素源として使用
3: 生成物の構造決定と誘導体化
単結晶X線回折により生成物の立体化学を確認
エノールトリフレート形成の位置選択性を調査
鈴木カップリングなどのパラジウム触媒反応を実施
結果
1: 反応の基質適用範囲
N-PMBおよびO-ベンジル系での高収率を達成
ヘテロ環を含む基質も許容
endoおよびexoノルボルネン異性体から異なる生成物ジアステレオマーを生成
2: 生成物の誘導体化
N-ベンジル基の脱保護とアミド形成が可能
ケトンの立体選択的還元とアセチル化を実現
エノールトリフレート形成の位置選択性を制御
3: 骨格の再構築
エステル部分の脱保護と活性化により環形成を実現
8,5,5-三環式ラクタム骨格への変換に成功
得られた骨格の更なる誘導体化が可能
考察
1: 主要な発見
単純なノルボルネンから複雑な三環式骨格への変換を実現
高度な立体選択性と位置選択性を達成
多様な官能基化が可能な柔軟な合成中間体を得た
2: 研究の特色
8,5,5-三環式ラクタム骨格への新規変換法を開発
この骨格は更なる誘導体化が可能
アルカロイド様化合物ライブラリー合成への応用が期待される
3: 先行研究との比較
ロビンソンのトロピノン合成を拡張した手法
従来の還元的アミノ化と比べ、より複雑な骨格を構築可能
生体模倣的合成アプローチの新たな可能性を示唆
4: 研究の限界点
一部の基質で収率の低下が見られた
エノールトリフレート形成の位置選択性メカニズムは不明確
結論
単純なアルケンから複雑なアルカロイド様骨格への変換法を確立
高度な立体選択性と多様な誘導体化の可能性を実証
将来の展望
不斉合成への展開
医薬品候補化合物ライブラリーの拡充への貢献が期待される
非ノルボルネン系アルケンへの適用拡大
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