2024年9月30日月曜日

Catch Key Points of a Paper ~0142~

論文のタイトル: Photodriven Sm(III)-to-Sm(II) Reduction for Catalytic Applications(光駆動Sm(III)からSm(II)への還元と触媒応用)

著者: Christian M. Johansen, Emily A. Boyd, Drew E. Tarnopol, Jonas C. Peters

雑誌: Journal of the American Chemical Society

巻: 146, 37, 25456–25461

出版年: 2024


背景

1: SmI2の特性と課題

SmI2は多用途な一電子還元剤

大きく柔軟な配位圏が選択性を可能に

通常化学量論量で使用される

Sm(III)-アルコキシド種の形成で反応が停止

触媒的再生が困難


2: 既存の再生方法と問題点

従来法:ハロシラン、低原子価金属、電気化学的手法

問題点:過酷な条件、副生成物の生成

光駆動戦略が未開拓

内圏還元剤としてのSmI2(L)nの化学との互換性が課題


3: 研究目的

光化学的手法によるSmI2再生法の開発

SmI3およびSm(III)-アルコキシドからのSmI2生成

添加物存在下でのSm(II)種生成の実現

光駆動Sm触媒反応への応用


方法

1: 光還元アプローチ

ハンチュ(Hantzsch)エステル(HEH2)を光還元剤として使用

[Ir(dtbbpy)(ppy)2]+ を光触媒として使用

UV-vis分光法によるSmI2生成のモニタリング

サイクリックボルタンメトリーによる電気化学的特性評価


2: SmI3からのSmI2生成

SmI3、HEH2、2,6-ルチジン塩基の混合物を調製

440 nmの光照射

UV-visスペクトルによるSmI2特性ピークの観察

塩基の有無による影響の比較


3: Sm(OiPr)3からのSmI2生成

Sm(OiPr)3、テトラ-n-ヘプチルアンモニウムヨウ化物、HEH2の混合

酸(HTFSI)の添加

440 nmの光照射

UV-visおよびCVによる生成物の分析


結果

1: SmI3からのSmI2生成結果

HEH2とルチジン存在下で、SmI2特性ピーク(555 nm, 618 nm)を観察

最大収率約25%

塩基なしでは反応進行せず

[Ir3+]触媒使用で80%変換(2分)を達成


2: Sm(OiPr)3からのSmI2生成結果

酸添加により光照射下でSmI2生成を確認

CV研究により、酸添加でのSm種の還元電位変化を観察

[Ir3+]触媒使用で30%変換(2分)を達成


3: 添加物存在下でのSm(II)生成結果

プロトン性、キラル、ルイス塩基性添加物存在下でSm(II)生成可能

より還元力の強い光触媒 2,4,6-tris(diphenylamino)-3,5-difluorobenzonitrile (3DPA2FBN)使用でSmBr2、Sm(HMPA)42+生成


考察

1: 光還元メカニズム

HEH2の光励起による直接還元

[Ir3+]触媒を用いた還元的消光

プロトン移動を伴う電子移動(PCET)の可能性

添加物の役割:配位子効果、プロトン源


2: 従来法との比較

ルイス酸性金属添加物や副生成物なしで進行

多様な配位子との互換性

光駆動による穏和な条件下での反応


3: 応用可能性

ケトン-アクリレートカップリング反応への適用

光駆動Sm触媒反応の実現

異なる基質ペアでの反応性の違い


4: 研究の限界点

光還元の量子収率や効率に関する詳細な検討が必要

基質適用範囲の更なる拡大が課題

反応メカニズムの詳細な解明が今後の課題


結論

光駆動によるSm(III)からSm(II)への還元を実現

添加物存在下でのSm(II)種生成を可能に

光駆動Sm触媒反応の実証


将来の展望

Sm触媒の新たな応用可能性を開拓

0 件のコメント:

コメントを投稿