2024年9月14日土曜日

Catch Key Points of a Paper ~0127~

論文のタイトル: Practical Site-Selective Oxidation of Glycosides with Palladium(II) Acetate/Neocuproine

著者: Niels R. M. Reintjens , Imke M. A. Bartels , Nittert Marinus , Sarina C. Massmann , Daan V. Bunt , Marthe T. C. Walvoort , Martin D. Witte∗ , Adriaan J. Minnaard∗

出版: Synlett 

巻: 35, 1291–1295

出版年: 2024


背景

1: カルボニル基の重要性

カルボニル基は有機合成化学の中心的役割を果たす

炭水化物の修飾にはヒドロキシ基の酸化が重要

位置選択的な酸化は保護基戦略や非保護炭水化物の修飾に有用

一級ヒドロキシ基の酸化は比較的確立されている


2: 二級ヒドロキシ基の選択的酸化の課題

非保護炭水化物の二級ヒドロキシ基の位置選択的酸化は困難

過去10年間で進展があったが、まだ課題が残る

Waymouthらの[(neocuproine)PdOAc]2(OTf)2触媒が注目される

この触媒は様々な基質に適用可能だが、普及が遅い


3: 簡便な酸化プロトコルの開発

商業的に入手可能なPd(OAc)2とneocuproineを用いた触媒系の開発

メタノール中での触媒のin situ調製

スクリーニング用の汎用性の高いプロトコルの確立

カラムクロマトグラフィーを避けた簡便な精製方法の開発


方法

1: 触媒系の最適化と基質適用範囲の調査

Pd(OAc)2とneocuproineを用いたin situ触媒系の開発

メタノール中での反応条件の最適化

様々な糖質基質に対する酸化反応の適用

簡便な精製方法の確立


2: 反応パラメーターの調整

溶媒:メタノールを選択(0.2 M濃度)

温度:50°Cで反応を実施

触媒量:Pd(OAc)2(5 mol%)、neocuproine (5 mol%)

酸化剤:ベンゾキノン (1.05当量)

反応時間:一晩(約18時間)


3: 簡便な精製プロトコル

反応混合物を濃縮後、水を添加

ジエチルエーテルで洗浄し、副生成物を除去

水層をシリンジフィルター(0.45μmと0.1μm)で濾過

凍結乾燥により最終製品を得る

純度90%以上の製品を得ることが可能


結果

1: 様々なグルコシドの酸化結果

メチル-α-グルコピラノシド:定量的収率(10グラムスケール)

チオグルコピラノシド:77%収率

保護グルコピラノシド:54-85%収率

キシロピラノシド:85%収率

グルクロノピラノシド:74%収率


2: 複雑な糖類の酸化

メチル-α-セロビオシド:62%収率

tert-ブチルベンジル-α-マルトシド:27%収率(副生成物の生成)

ダパグリフロジン:62%収率


3: 他の糖類の酸化挙動

メチルL-ラムノピラノシド:複雑な混合物を生成

メチルD-マンノピラノシド:複雑な混合物を生成

メチルD-ガラクトピラノシド:複雑な混合物を生成

プエラリン:C(3)からC(2)への転位生成物を形成(48%収率)


考察

1: in situ触媒系の有効性

Pd(OAc)2とneocuproineのin situ触媒系が機能することを実証

メタノール中での反応が高い収率を示す

グルコシドに対して特に効果的

簡便な精製法により、高純度の製品を得ることが可能


2: 基質の範囲と限界

グルコシド:高収率で目的の3-ケト糖を生成

二糖類:セロビオースは良好な収率、マルトースは課題あり

非グルコシド:過酸化や転位反応が課題

C-グリコシド:転位生成物の形成に注意が必要


3: Waymouthの触媒との比較

[(neocuproine)PdOAc]2(OTf)2触媒に比べ、活性はやや低い

しかし、商業的に入手可能な試薬で調製可能

スクリーニング用途に適している

一部の基質では同等以上の収率を達成


4: 方法の制限と課題

非グルコシドでの選択性の低さ

一部の基質での過酸化や転位反応

複雑な二糖類での収率の低下

高温(50°C)での反応が必要


結論

簡便な位置選択的糖質酸化法の確立

in situ調製可能なPd触媒系を用いた糖質の位置選択的酸化法を開発

グルコシドに対して高い効率と選択性を示す

簡便な精製法により、実用的なプロトコルを確立

非保護炭水化物の修飾における新たなツールを提供


将来の展望

非グルコシドへの適用拡大と選択性の向上

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