2024年9月18日水曜日

Catch Key Points of a Paper ~0131~

論文のタイトル: Rapid Access to Divergent Fused Polycycles Via One-Pot A3 Coupling and Intramolecular Diels-Alder Reaction

著者: Rajashekar Reddy Narra, Vignesh Gopalakrishnan Unnithan, Yifan Liu, Zhihong Guo*

出版: Chemistry - A European Journal

巻: 30, e202401449.

出版年: 2024


背景

1: 研究の背景

ヘテロ環や炭素環は医薬品の重要な構造要素

既知薬物の環系の多くは芳香環と複素環を含む

飽和度の高い縮合多環系は稀だが、臨床的成功と関連

sp3炭素の割合が高いと選択性と溶解度が向上


2: 未解決の問題点

飽和縮合多環系の合成は困難

生体模倣カスケード反応や分子内ディールス・アルダー (IMDA) 反応では長い多段階合成が必要

ヘテロ原子を含む縮合多環系への迅速な合成アクセスが重要


3: 研究の目的

多成分反応とIMDA反応を組み合わせた一段階合成法の開発

A3カップリング反応を利用した新しい合成戦略の確立

多様な縮合多環系の迅速な合成アクセスの実現


方法

1: 研究デザイン

一段階反応によるヘテロ原子含有縮合多環系の合成

A3カップリング反応とIMDA反応の組み合わせ

様々な基質を用いた反応の適用範囲の検討


2: 反応条件の最適化

触媒、溶媒、温度などの反応条件の検討

CuI触媒、1,4-ジオキサン溶媒、100°Cが最適条件

不斉合成の試みは成功せず、ラセミ化が観察された


3: 基質適用範囲の検討

アルデヒド、アルキン、アミン基質の構造多様性を探索

置換基の効果や反応性への影響を調査

生成物の構造を1H NMR、13C NMR、2D NMR、HRMSで確認


4: 生成物の誘導体化

オキサ架橋二環部分の開環メタセシス反応

TiCl4を用いたオキサ架橋の開裂反応

1,6-エンイン部分の環化異性化反応


結果

1: 一段階反応の主な生成物

5/5/5三環系または5/5/6三環系の縮合多環化合物

非直線状5/5/6/5四環系化合物

オキサ架橋二環部分と1,6-エンイン部分を含む構造


2: 基質適用範囲

アルデヒド: フラン-2-カルバルデヒドが最適、5位置換基も許容

アルキン: 芳香族、脂肪族、シリル基などが適用可能

アミン: アルキル、ベンジル、シクロヘキシル、ヒドロキシアルキル基が適用可能


3: 誘導体化反応の結果

開環メタセシスによる多官能性二環系の合成

オキサ架橋開裂によるヘキサヒドロ-1H-イソインドール誘導体の合成

1,6-エンイン環化異性化による5/5/5/5四環系または5/5/5/5/5五環系の合成


考察

1: 主要な発見

A3カップリングとIMDA反応の組み合わせによる効率的な多環系合成

高い立体選択性でtrans-exo付加体が生成

基質の構造が生成物の多様性に大きく影響


2: 構造多様性

オキサ架橋二環部分と1,6-エンイン部分が多様な誘導体化を可能に

ヒドロキシ基を含む生成物からの追加環化反応による構造多様性の拡大

合計12種類の縮合多環系の合成に成功


3: 先行研究との比較

既存のPetasis反応/IMDA法やUgi反応/IMDA法と比較して、より複雑な多環系の合成が可能

生体模倣カスケード反応やIMDA反応による多段階合成法と比較して、迅速かつ効率的


4: 研究の意義

未探索の構造空間への迅速なアクセスを提供

生物活性物質探索のための多様な骨格合成法として有用

医薬品候補化合物ライブラリーの拡充に貢献


5: 研究の限界点

不斉合成が困難で、ラセミ体のみが得られる

一部の基質では望むIMDA反応が進行せず、A3カップリング生成物のみが得られる

生成物の生物活性評価は未実施


結論

A3カップリングとIMDA反応の組み合わせによる効率的な縮合多環系合成法を開発

多様な置換基を許容し、高い構造多様性を実現

生成物の誘導体化により、さらなる構造多様性の拡大が可能


将来の展望

本手法は新規生物活性物質の探索に有用なツールとなる可能性

今後は生成物の生物活性評価や不斉合成法の開発が課題

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