論文のタイトル: Homogeneous organic reductant based on 4,4′-tBu2-2,2′-bipyridine for cross-electrophile coupling
著者: David J. Charboneau, Haotian Huang, Emily L. Barth, Anthony P. Deziel, Cameron C. Germe, Nilay Hazari, Xiaofan Jia, Seoyeon Kim, Sheikh Nahiyan, Leonardo Birriel–Rodriguez, Mycah R. Uehling
出版: Tetrahedron Letters
巻: 145, 155159
出版年: 2024
背景
1: 研究背景
Ni触媒交差求電子剤カップリング(XEC)反応は重要なC-C結合形成法
XEC反応には外部電子源が必要
一般的に不均一系還元剤(Mn0, Zn0)が使用される
不均一系還元剤には大規模反応での再現性の課題がある
2: 均一系還元剤の課題
均一系還元剤は原理的に大小規模反応に適している
しかし、合成、安定性、コストに課題がある
最も一般的な均一系還元剤TDAEは高価で空気に敏感
新しい実用的な均一系還元剤の開発が求められている
3: 研究目的
新しい均一系還元剤tBu-OED4の開発
tBu-OED4の合成と物性評価
Ni/Co触媒XEC反応におけるtBu-OED4の有用性実証
幅広い基質に適用可能な還元剤の開発
方法
1: tBu-OED4の合成
市販の4,4′-tBu2-2,2′-ビピリジンから2段階で合成
1段階目:1,4-ジヨードブタンによるアルキル化
2段階目:Mg0による還元
クロマトグラフィー精製不要、7gスケールで合成可能
2: tBu-OED4の特性評価
1H NMR、13C NMR、UV-Vis分光法による構造解析
サイクリックボルタンメトリーによる還元電位測定
溶解性試験による各種有機溶媒への溶解性評価
3: XEC反応への応用
Ni/Co二元触媒系でのアリールハライドとアルキルハライドのカップリング
基質適用範囲の検討:電子供与性/求引性置換基、立体障害、官能基許容性
医薬品中間体への適用
結果
1: tBu-OED4の合成と物性
2段階合成、総収率76%
還元電位: -1.33 V vs Fc+/Fc
ペンタン、ベンゼン、THF、DMFに可溶
空気に敏感、不活性雰囲気下での取り扱いが必要
2: XEC反応への適用
2-ブロモトルエンと1-ブロモ-3-フェニルプロパンのカップリング:87%収率
電子供与性/求引性置換基を持つ芳香族基質に適用可能
立体障害の大きな2,6-置換アリールハライドにも対応
3: 官能基許容性と複雑分子への適用
ピナコールボラン、アルコール、アリールクロライド、エステルに対応
ヘテロ環化合物(ピリジン、ベンゾチオフェン)にも適用可能
医薬品開発中間体との反応:71%収率で目的物を単離
考察
1: tBu-OED4の特徴
DMAP-OED3(-1.69 V)より弱い還元力
幅広い基質に適用可能な還元電位
固体で取り扱い可能、TDAEより実用的
2: XEC反応における利点
均一系のため反応再現性が高い
非アミド系溶媒での反応が可能
立体障害の大きな基質にも対応
3: 従来の還元剤との比較
TDAEと同等以上の収率
より安価な原料から合成可能
固体のため取り扱いが容易
4: 研究の限界点
空気に敏感、不活性雰囲気下での取り扱いが必要
反応後のtBu-OED4の動向が未解明
リサイクル可能性の検討が今後の課題
結論
新規均一系還元剤tBu-OED4の開発に成功
Ni/Co触媒XEC反応への有用性を実証
幅広い基質適用範囲と高い官能基許容性を確認
将来の展望
2,2′-ビピリジン骨格の修飾による還元電位制御
均一系還元剤の実用化
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